細部にこだわる強み
人は時に、細かい部分に集中して物事を進めます。数字の誤差を見逃さない、文書の表現に徹底的にこだわる——そうした姿勢は、品質を守り、信頼を積み上げる大切な力です。Emotional Compassでは、この力を「感情俯瞰力」の一側面として捉えています。
ただし、細部に注力するあまり全体像を見失うと、周囲から「木を見て森を見ず」と評価されることもあります。しかし、これは弱点ではなく、あくまでバランスの問題です。細部志向があるからこそ、全体を意識したときに精度の高い成果を出せるのです。
全体と部分をつなぐ視点
認知心理学の研究では、人間の注意資源は限られており、細部と全体を同時に把握するのは難しいとされています(Kahneman, 1973)。だからこそ、細部重視の特性を持つ人は、意識的に「いま全体をどう捉えているか」と確認することが重要です。
マネジメント理論でも、細部へのこだわりと全体把握は両立すべきものとされています。ドラッカーは「成果を上げる者は、仕事の本質を見極めつつ細部にまで責任を持つ」と述べています。細部の精度が、全体の信頼性を支えるのです。
感情を俯瞰するという力
細部と全体のバランスを取る姿勢は、感情面でも同様です。怒りや不安といった一時的な感情にとらわれず、一歩引いて状況を俯瞰することで、より冷静で的確な判断ができます。これは単なる性格ではなく、練習によって鍛えられるスキルです。
実践のためのレシピ
- 日々の仕事で「細部の確認」と「全体像の整理」をセットにする
- 感情が強く動いたときに「これは全体にどう影響するか」と一呼吸おく
- チームで議論する際に「自分が注目している点は部分か全体か」を明言する
感情に流されないリーダーへ
細部に集中する力は、信頼される成果を出す基盤です。しかし、その力を十分に生かすためには、全体を意識する習慣が必要です。全体像を描きながら細部を磨くことで、成果の質は飛躍的に高まります。
「成果を上げる者は、仕事の本質を見極めつつ細部にまで責任を持つ」
― ピーター・ドラッカー(経営学者、『現代の経営』の著者)
あなた自身は?
ここまで見てきたように、細部重視と全体把握は対立ではなく補完し合う力です。
あなた自身は、細部と全体、どちらに強みを感じていますか?
あなた自身の特性を確かめてみませんか?
Emotional Compass は、経営情報学博士である最上雄太が総合監修した EQリーダーシップ®️ を測定・育成することを目指すアセスメントです。
24特性3レベルの視点から、あなたの「感情俯瞰力」を客観的に振り返ることができます。
参考・出典
- Kahneman, D. (1973). Attention and Effort. Englewood Cliffs, NJ: Prentice-Hall.
- ピーター・ドラッカー(1954)『現代の経営』ダイヤモンド社
- 最上雄太(2022)『シェアド・リーダーシップ入門』(国際文献社)