共感を行動で示す力|共感的行動を育てる方法

執筆:最上 雄太

共感的行動とは

同僚が落ち込んでいるときに、うまく声をかけられずに後悔したことはありませんか。相手の気持ちに寄り添いたいのに、どう表現すればよいのか迷ってしまう場面は誰にでもあります。

共感的行動とは、他者の感情を理解するだけでなく、それを言葉や態度で伝える力です。物事を共感の視点からとらえ、相手に「受け止めています」と示す行動のことを指します。

Emotional Compassでは「社会的認識(SO)」に属する特性であり、人とのつながりや信頼を深める土台になります。Compassの観点では、この力の低さは欠点ではなく「冷静さや客観性」といった強みの裏返しでもあります。ただし、共感を行動に移すことができれば、信頼を築く幅がさらに広がります。リーダーにとっては、共感的行動を示すことがチームの安心感や協力を生み出す大切な役割を果たします。


研究が示す共感的行動の力

心理学者デイヴィスは、共感的行動を多く示す人は信頼関係を築きやすく、協力的な関係を長く維持できると述べています(Davis, 1983)。共感は感情的な理解にとどまらず、行動を伴うことで「安心できる相手」という評価につながるのです。

実務の現場でも、ハーバード・ビジネス・レビュー(HBR)の記事『Empathy Is Still Lacking in the Leaders Who Need It Most』(Christine M. Riordan, 2015)は、共感的なふるまいを示すリーダーが従業員エンゲージメントを高めることを示しています。特に、リーダーが「聞く姿勢」を行動で示すことで、組織の信頼と協力文化が強まることが明らかになっています。

さらに経営学の観点からは、最上雄太(2022)が『シェアド・リーダーシップ入門』の中で「互いの感情理解を行動に反映すること」がチームの相互支援を促すと指摘しています【Amazon】。また近著(2025)『人を幸せにする経営』では、共感的行動を軸にしたリーダーシップが「幸福度と生産性の両立」を実現するうえで重要だと強調しています【Amazon】。


実践のためのレシピ

共感的行動が苦手に感じられる場合でも、次の工夫で前向きに取り組むことができます。


信頼を育むリーダーへ

リーダーが共感的行動を示すと、メンバーは「自分の気持ちを理解してくれている」と感じ、安心して意見を出せるようになります。これは心理的安全性を高め、チーム内で挑戦や協力が生まれる基盤となります。特に困難な状況のときほど、リーダーの小さな共感的ふるまいが大きな支えとなります。


あなた自身は?

最近、身近な人が困っているときに、あなたはどんな行動をとりましたか? そのときに少しでも相手の気持ちを言葉や態度で示していたでしょうか? 次に同じような場面があったら、どんな一歩を踏み出したいですか? その経験は、あなたのリーダーシップにどんな影響を与えているでしょうか?


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参考・出典

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