動機探索力とは、行動の意味を見つける力
人はときに「なぜ自分はこれを選んだのだろう?」と戸惑うことがあります。
背景にある思いや価値観を深く見つめることができなければ、行動の意味がぼやけてしまうこともあるでしょう。
動機探索力とは、自分の行動や選択の背後にある理由や価値観を探る力です。
Emotional Compassでは、この特性を「自己認識」の力のひとつとして位置づけています。
リーダーにとっても、自らの動機を理解していることは、判断の軸を持ち、周囲に一貫性を示すために欠かせません。
動機づけを理解する理論
心理学者デシとライアン(1985)の自己決定理論によれば、人間の動機は「外発的」と「内発的」に分けられます。外発的動機は報酬や評価に基づく一方、内発的動機は好奇心や成長欲求に支えられています。研究では、内発的動機を持つ人ほど持続的な努力や幸福感が高いとされています。動機探索力が中程度にある人は、両者のバランスをとりながら日々の選択を行っているといえるでしょう。
組織における安心と探究
動機を探る姿勢は、組織における心理的安全性とも関わります。ハーバード・ビジネス・スクールのエイミー・エドモンドソン(1999)は、心理的安全性が高いチームほど新しい挑戦をしやすいと報告しました。自分の動機をある程度理解している人は、無理に自分を偽らずに発言できるため、チームの中で安心感を育みやすいのです。これは中庸の動機探索力が持つ実務的な強みといえるでしょう。
実践のためのレシピ
- 小さな選択に「なぜこれを選んだのか?」と一度問いかけてみる。
- 週に一度、自分がやっていて楽しかったことを3つ書き出す。
- 信頼できる同僚や友人に「私の行動の動機はどう見える?」と聞いてみる。
- 会議で意見を述べる前に「これは私の信念か、それとも場の期待か?」と自問してみる。
リーダーとしての動機
リーダーにとって、自らの動機を一定程度理解していることは安定感につながります。さらに、意識的に内発的動機を深めることで、ビジョンは一層鮮明になります。自己の動機を理解する力は、感情知能(EQ)の中核でもあります。感情知能の研究で知られるダニエル・ゴールマン(1995)は「リーダーは自分の情熱に正直であるとき、最も人を動かす」と述べています。情熱と冷静さのバランスをとることが、リーダーの信頼を高める要素になります。
あなた自身は?
あなたは日々の選択をするとき、どんな動機に支えられていますか?
その動機は、周囲に安心を与えていますか? それとも不安を招いていますか?
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Emotional Compass は、経営情報学博士である最上雄太が総合監修した EQリーダーシップ® を測定・育成することを目指すアセスメントです。24特性3レベルの診断を通じて、あなた自身の強みと課題を明らかにします。
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参考・出典
- Deci, E. L., & Ryan, R. M. (1985). Intrinsic motivation and self-determination in human behavior. Springer.
- Edmondson, A. (1999). Psychological safety and learning behavior in work teams. Administrative Science Quarterly, 44(2), 350–383.
- Goleman, D. (1995). Emotional Intelligence. Bantam Books.
- 最上雄太(2022)『シェアド・リーダーシップ入門』(国際文献社)