レジリエンスとは、逆境から立ち直る力
失敗や困難から立ち直るのが苦手だと感じる人もいます。
しかしその一方で、傷つきやすさや不安定さは、他者の痛みに気づく力にもつながります。
レジリエンスとは、逆境やストレスから回復し、新しい力へと変えていく力です。
Emotional Compassでは、この特性を「自己管理」の力のひとつとして位置づけています。
リーダーにとっても、困難に直面したときにどのように立ち直るかは、メンバーの挑戦意欲や信頼感に直結します。
失敗からの成長
心理学者テデスキとキャルフーン(1995)は、困難な出来事を経験した後に人が成長する現象を「心的外傷後成長(PTG)」と呼びました。レジリエンスが低い人は回復に時間を要する分、深い省察を経て新しい価値観や強さを獲得する可能性があるとされています。
つまり「すぐに立ち直れない」ことが、その人なりの成長のプロセスである場合もあるのです。
安心できる環境の力
また、組織心理学の研究では「心理的安全性」が重要とされています。エイミー・エドモンドソン(1999)は、職場で安心して失敗や弱さを共有できる環境こそが、学びと成長につながると示しました。レジリエンスが低い人にとっても、安全な環境は回復を支え、再挑戦への一歩を後押しします。
レジリエンスは誰の中にもある
レジリエンスは生まれつきの資質ではなく、関係性や環境の中で育まれる力です。低いからといって悲観する必要はありません。むしろ、立ち直りに時間をかけながらも自分なりの意味を見出せることは、強さの別の形です。
実践のためのレシピ
- 失敗をしたとき、すぐに動くのではなく「何を学べるか」をノートに記録する
- つらさを感じたら、信頼できる人に率直に共有する
- 毎日の終わりに「今日できた小さなこと」を3つ書き出し、前進を確認する
しなやかなリーダーへ
レジリエンスの低さは、弱さの証明ではありません。経験を深く受け止めることで、他者の気持ちに寄り添う力を得られるのです。そうした姿勢は、チームに安心感を与え、信頼を築く基盤となります。
「逆境は人に新しい洞察をもたらす」
― リチャード・テデスキ(心理学者、『心的外傷後成長』研究の第一人者)
あなた自身は?
ここまで見てきたように、レジリエンスは低さの中にも学びと成長の可能性があります。
あなた自身は、困難から立ち直るとき、どのように学びを得ているでしょうか?
あなた自身の特性を確かめてみませんか?
Emotional Compass は、経営情報学博士である最上雄太が総合監修した EQリーダーシップ®️ を測定・育成することを目指すアセスメントです。
24特性3レベルの視点から、あなたの「レジリエンス」を客観的に振り返ることができます。
参考・出典
- Tedeschi, R. G., & Calhoun, L. G. (1995). Trauma and Transformation: Growing in the Aftermath of Suffering. Sage.
- Edmondson, A. (1999). Psychological safety and learning behavior in work teams. Administrative Science Quarterly, 44(2), 350–383.
- 最上雄太(2022)『シェアド・リーダーシップ入門』(国際文献社)