感じ取る力を育てる|共感的態度で信頼を築く

執筆:最上 雄太

「なぜ相手の気持ちがうまくつかめないのだろう…」


共感力とは、感情を理解し寄り添う力

共感力とは、相手の気持ちを理解し、感情に寄り添う力です。
Emotional Compassでは、この特性を「社会的認識」の一部として位置づけています。
リーダーにとって共感は信頼を築く大切な要素ですが、現実には事実や論理を優先し、感情を十分に汲み取れない場面も少なくありません。
しかしそれは単なる弱点ではなく、冷静さや客観性を保つ強みにもつながります。


共感を理解する研究

臨床心理学者カール・ロジャーズ(1951)は「共感的理解」を人間関係の基盤と位置づけました。相手の立場に立って耳を傾けることは、信頼関係の出発点だとされています。また、コーエンとウィルズ(1985)は、共感的なサポートがストレス緩和に寄与することを示しました。つまり、共感は人の心を支える大切な資源なのです。

さらに、感情知能(EQ)の研究で知られるダニエル・ゴールマン(1995)は、EQの主要要素のひとつとして共感を位置づけ、対人関係に不可欠な力と述べています。自己の動機を理解する力とともに、共感はEQの核を成し、人間関係の質を左右します。

では、共感的感度が低めの人はどう活かせばよいのでしょうか。大切なのは「自分なりの方法で関わる工夫」です。過剰に共感しなくても、誠実な態度や具体的な行動によって信頼を築くことは十分に可能です。


実践のためのレシピ

共感的感度を高めるために、次の3つの問いを日常で試してみてください。

  1. 会話の中で「相手はいま、どんな気持ちでこの言葉を発しているのか?」と一度立ち止まって考える。
  2. 感情の推測が難しいときは「そう感じている?」と確認する勇気を持つ。
  3. 自分の意見を伝える前に「相手の立場ならどう見えるか?」を想像してみる。

これらの問いは、小さな習慣として続けることで徐々に感度を育てます。


信頼を育むリーダーへ

リーダーにとって、共感的感度は「人を動かす」力の要素です。感度が低めであっても、冷静さを武器に、相手の声を丁寧に拾う姿勢を見せれば、メンバーは安心して意見を表明できます。たとえば会議では、小さなうなずきや視線で発言を促したり、沈黙しているメンバーに「どう思う?」と声をかけるだけで、チームに安心感を与えることができます。共感は感情に流されることではなく、「相手を尊重する態度」の積み重ねなのです。


あなた自身は?

あなたは、日常の中で他者の気持ちをどう感じ取っていますか?
その方法は、相手に安心を与えていますか? それとも距離を広げていますか?


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参考・出典


「人は、自分が理解されたと感じるときに初めて心を開く。」
―― カール・ロジャーズ(来談者中心療法を提唱した臨床心理学者)

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