困難を成長の糧に変える力|リフレーミングで逆境を乗り越える

執筆:最上 雄太

仕事や人間関係で壁にぶつかったとき、「もうだめだ」と思い込んでしまう経験はありませんか。失敗が大きく感じられ、未来まで暗く見えてしまう。そんなときに役立つのがリフレーミング力です。

リフレーミング力とは、出来事を「別の枠組み」でとらえ直す力のこと。物事の意味を新しい視点で捉え直し、前向きに活かす力です。

Emotional Compassでは「自己認識(SA)」に属する特性であり、自分自身の感情や経験をどのように理解するかを左右します。リーダーにとっても、この力は困難を乗り越える姿勢に直結し、メンバーに安心感を与える土台となります。


研究が示すリフレーミングの力

心理学者ラザルスは、ストレス研究の中で「認知的リフレーミング」を行う人は回復が早いと示しました。
「認知的リフレーミング」とは、同じ出来事を異なる解釈で捉え直すことです。たとえば「失敗=挫折」とみなす代わりに、「失敗=成長の糧」と再定義する。この切り替えによって、心身の負担が軽くなり、柔軟に次の行動に移れるようになります。

実務の現場では、ハーバード・ビジネス・レビュー(HBR)の記事『失敗から学ぶための戦略(Strategies for Learning from Failure)』(Amy C. Edmondson, 2011)が詳しい事例を紹介しています。この記事は、失敗を予防可能な失敗/複雑性由来の失敗/探索的(賢い)失敗に分けて捉え、学習につなげる組織行動(責めないふり返り、声を上げやすい土壌=心理的安全性づくり等)の重要性を説いています。単なるポジティブ思考ではなく、失敗を「成長の資源」として意味づけ直す実践の枠組みが示されています。

さらに経営学の観点では、最上雄太(2025)が『人を幸せにする経営』の中で、経営の持続可能性と幸福度を高めるには「困難を意味づけし直す力」が不可欠であると強調しています|Amazon。組織が変革期に直面する不確実性を「不安」ではなく「進化の契機」ととらえる視点が、経営者やリーダーの資質として重視されるのです。


実践のためのレシピ

リフレーミング力が苦手に感じる人でも、次の工夫で物事の見方を前向きに広げられます。


信頼を育むリーダーへ

リーダー自身がリフレーミングを体現すると、失敗や課題をオープンに話せる空気が生まれます。これは心理的安全性や挑戦文化の基盤となり、チームが安心して意見を出し合える信頼関係へとつながります。


あなた自身は?

最近の困難を別の枠で見直すと、どんな変化が見えてきますか? そのとき、誰かに相談したらどんな新しい視点を得られるでしょうか。そして、その経験を「次に生かせるヒント」として言葉にするなら、どのように表現できるでしょうか?


あなた自身の特性を確かめてみませんか?

Emotional Compass は、経営情報学博士である最上雄太が総合監修した EQリーダーシップ® を測定・育成するアセスメントです。
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参考・出典

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