言葉と行動を一致させるリーダーシップ|誠実性が信頼を生む理由

執筆:最上 雄太

誠実性とは

「言っていることとやっていることが違う」と指摘された経験はありませんか。状況や相手に合わせて柔軟にふるまったつもりでも、周囲からは「一貫性がない」と受け取られてしまうことがあります。

Emotional Compassでは、本特性は関係管理(RM)因子に属します。

誠実性とは、自分の価値観や原則に忠実であり続けられるかを示す特性です。
Emotional Compass では「自己認識(SA)」に属しており、自分の行動と内面の基準が一致しているかどうかを映し出します。

この特性が弱めの傾向にあると、状況や相手によって態度が変わりやすく、一貫性を欠くように見られることがあります。しかし一方で、それは「柔軟さ」や「多様な関係性への適応力」として強みになる場合もあります。

リーダーにとって誠実性は、信頼の基盤をつくる重要な要素です。言葉と行動が一致しているとき、メンバーは安心してついていくことができます。一方で、柔軟さを持ちながらも「ここだけはぶれない」という軸を示すことが、リーダーシップの説得力を高めます。


研究が示す誠実性の力

心理学の研究では、誠実性は「ビッグファイブ」と呼ばれる主要な性格特性のひとつとされ、目標達成や信頼関係の構築に大きな影響を与えることが知られています(McCrae & Costa, 1987)。誠実性が低めの人は計画性や一貫性に欠けやすいとされますが、その一方で新しい状況に素早く対応する柔軟性を持つとも指摘されています。

実務の観点では、Forbes の記事『偉大なリーダーを定義する8つの本質的資質(8 Essential Qualities That Define Great Leadership)』(Kimberly Fries, 2018)は、Integrity(誠実性)を「リーダーにとって最も重要な資質のひとつ」と位置づけています。誠実性を示すリーダーは透明性のある意思決定を行い、メンバーの信頼とエンゲージメントを高めると指摘されています。

経営学の視点からは、最上雄太(2025)が『人を幸せにする経営』の中で「リーダーが誠実さを持って意思決定を行うとき、メンバーはその一貫性に安心感を覚える」と強調しています【Amazon】。また、前著(2022)『シェアド・リーダーシップ入門』では「多様な意見を尊重しつつも、自らの価値基準を見失わない姿勢」が、チームの信頼形成を支えると述べています【Amazon】。


実践のためのレシピ

誠実性が弱めの傾向がある場合でも、次の工夫によって一貫性を少しずつ高めることができます。


信頼を育むリーダーへ

リーダーが誠実さを行動で示すと、メンバーは「この人の言葉は信じられる」と感じ、安心して意見を出せるようになります。これは心理的安全性を高め、組織に挑戦や協力が生まれる基盤となります。
一方で、状況に応じて柔軟にふるまうことも大切です。「譲れない軸」と「相手に合わせる余地」を両立させることで、チームにとって信頼と適応力を兼ね備えたリーダー像が育ちます。


あなた自身は?

最近の決断で、周囲に合わせて自分の考えを引っ込めてしまったことはありましたか?
そのとき、あなたの価値観や大事にしたい軸は何だったでしょうか?
次に同じような場面があったら、柔軟さを保ちながらも「ここは大事にしたい」と伝えるとしたら、どんな言葉を選ぶでしょうか?


あなた自身の特性を確かめてみませんか?

Emotional Compass は、経営情報学博士である最上雄太が総合監修した EQリーダーシップ® を測定・育成するアセスメントです。
全24特性×3レベルの診断を通じて、あなたの「感情を活かす力」を客観的に把握できます。

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https://innershift.jp/compass/


参考・出典

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