不確実性を受け入れる──動き出す勇気が未来を形づくる

執筆:最上 雄太

新しい戦略を検討するとき、どんなに慎重なリーダーでも「失敗したらどうしよう」と心のどこかで考えます。けれど、動かなければ何も変わらないことを知っている。不確実さの先にこそ、新しい可能性が生まれる。だからこそ、リスクを受け入れて前に進むのです。

「リスク選好性」とは、不確実な状況を避けずに、挑戦の第一歩を踏み出す力。それは無謀な勇気ではなく、変化を信じる知的な意思決定です。Emotional Compassでは、本特性は自己管理(SM)因子に属します。未来を形づくるのは、結果を恐れない人ではなく、前進を信じて決意する人です。


恐れと希望のあいだに立つ

挑戦の前夜には、誰しも不安を抱えます。「うまくいかなかったらどうしよう」「周りにどう思われるだろう」。しかし、恐れを完全に消してから動き出すことはできません。むしろ、その“怖さ”を感じながら一歩を踏み出すことが、成熟した勇気の形です。

リスクを取るとは、危険を軽視することではなく、「それでもやる」と決めること。不確実さの中にある可能性を信じるとき、行動は信念に変わります。リーダーシップとは、結果ではなく過程に誠実であること。踏み出す行為そのものが、未来への信頼の証なのです。


リスクを取ることは、機会を信じること

経営学者のマーチとシャピラ(March & Shapira, 1987)は、「リーダーがリスクを取るのは、危険を軽んじているからではなく、機会を信じているからだ」と述べています。

「リスク選好とは、危険への鈍感さではなく、機会への信念である。」

この視点は、挑戦を「勝ち負け」で捉える発想を超えています。本当に強いリーダーは、確実な道ではなく、変化の中にある可能性を選ぶ。それは、未知に身を委ねる知的勇気(Intelligent Courage)であり、組織やチームを次のステージへ導くエネルギーになります。


未来は、動き出す人の手の中にある

最上雄太(2025)『人を幸せにする経営』(国際文献社)では、こう語られています。

「未来は“正解”ではなく、動き出す勇気によって形づくられる。」

確実さを求めすぎると、変化のチャンスを逃してしまう。完璧な準備よりも、不完全なまま始める勇気が未来を切り拓きます。挑戦の結果はコントロールできなくても、挑戦する姿勢は常に自分の選択で決められる。そこに、自己管理の本質があるのです。


行動の先に見えるもの

リスクを取るとは、何かを失うことではなく、何かを生み出すこと。その一歩が、他者を動かし、チームを変え、組織を前へ進める。恐れと希望のあいだに立ち、動き出す人だけが、未来の形を変えられます。

リスク選好性とは、勇気を試すことではなく、信頼を選ぶ知性。あなたは、どんな“不確実な一歩”を、まだ踏み出していませんか?


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