プロジェクトが停滞し、どんなに努力しても成果が出ないときがあります。
予算も時間も限られ、従来の方法では前に進めない。
そんな状況でこそ、リーダーの「構想力」が試されます。
壁を壊すのではなく、壁の形を変えて道をつくる。
それが、成熟したリーダーが発揮するブレイクスルーの姿です。
限界の中でこそ、創造は始まる
「ブレイクスルー」とは、今ある枠組みを超えて、新しい可能性を生み出す力。
それは“自由な創造”ではなく、制約の中から生まれる構想的な創造です。
Emotional Compassでは、本特性は自己管理(SM)因子に属します。
多くの人は、行き詰まりを「限界」と捉え、立ち止まります。
しかし、リーダーはその限界を“素材”として再構成する。
「できない」を「別の方法でできる」に変える力が、真のブレイクスルーを生むのです。
Effectuation──手持ちの資源で未来をつくる
経営学者 サラスバシー(Sarasvathy, 2001) は、「Effectuation理論──状況適応的創造理論」でこう述べています。
成功する起業家は、あらかじめ決められた目的や未来の予測から始めるのではない。
むしろ、いま手の中にある手段から、実現しうる新しい目的を想像する。
従来の「因果的思考(Causation)」が“目的から手段を考える”のに対し、
Effectuationは“今ある手段から新しい目的を生み出す”アプローチ。
未知の状況を前に、完璧な情報や予測を求めるのではなく、
動きながら学び、形を変え、未来を共創していくリーダーの姿勢を示しています。
ブレイクスルーとは、まさにこのEffectualな思考の実践です。
足りないものを嘆くのではなく、今ある要素を組み替え、
新しい結果をつくり出す行動的知性。
それが、現代のリーダーに求められる創造の在り方です。
自分のやり方で、未来を構想する
最上雄太(2025)『人を幸せにする経営』(国際文献社)では、こう記されています。
「前例のない状況でこそ、人は自分のやり方を創り出す。」
他者の成功例に頼るのではなく、
自らの経験・直感・仲間の力を組み合わせ、自分のやり方を生み出すこと。
それは、リーダーシップの最も創造的な行為です。
失敗を経て、リスクを受け入れ、そして次の形をつくり出す。
そこに、自己管理因子の到達点──創造的再構築(Creative Reconstruction)があります。
あなたに問いかけたいこと
あなたはいま、どんな“限界”を再構築しようとしていますか?
壁は、壊すためにあるのではなく、形を変えるためにある。
その先に、まだ誰も見たことのない道が続いています。
参考文献
- Sarasvathy, S. D. (2001). Causation and Effectuation: Toward a Theoretical Shift from Economic Inevitability to Entrepreneurial Contingency. Academy of Management Review, 26(2), 243–263.
- 最上雄太(2025)『人を幸せにする経営』(国際文献社)
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