ためらいながらも、動き出せるか
誰にとっても、未来は不確実です。
どんなに準備をしても、結果を完全に予測することはできません。
それでも、リーダーには「やってみよう」と動き出す瞬間があります。
Emotional Compassでは、本特性は自己管理(SM)因子に属します。
リスクを取るとは、勢いで挑むことではなく、不安を受け入れたうえで行動を選ぶ力です。
その背景には、状況を冷静に見つめ、自分と仲間を信じる姿勢があります。
Emotional Compassでは、この特性を自己管理(Self-Management)因子に位置づけています。
自分の感情を整え、恐れを受け止めながらも一歩を踏み出す力。
それが、リーダーが不確実な環境で信頼を示す行動知性です。
たとえば、新しいプロジェクトの提案や組織変革のリードなど、
結果の見えない状況で意見を表明する場面。
「もしうまくいかなかったら」と考えるのは自然なことですが、
その場で立ち止まるか、動くかの違いが、チームの未来を大きく分けます。
不確実な状況で、「考えを変えられる人」が動き出せる
アダム・グラント(Adam Grant)は『再考する力(Think Again)』(2021)で、
「変化の時代に必要なのは、確信ではなく柔軟さだ」と述べています。
彼が説く“再考(Rethinking)”とは、決断を先延ばしにすることではなく、
状況に応じて考えを更新しながら前進する知性のことです。
グラントはこう語ります。
“The greatest risk is not taking one.”
(最大のリスクは、何もリスクを取らないことだ。)
人は、失敗や批判を恐れて動きを止めがちです。
しかし、変化が常態化する現代では、「動かないこと」そのものが最大のリスクになります。
挑戦を恐れないリーダーは、失敗の可能性を冷静に分析し、
不確実性の中で考えを再設計する柔軟さを持っています。
リスク選好性とは、リスクを軽視することではありません。
リスクを正確に理解し、それでも「試す価値がある」と判断できる力です。
この判断には、感情の制御と、学び続ける姿勢が欠かせません。
挑戦とは、自信ではなく「再考する勇気」から始まります。
リーダーが「完璧な答え」を探すのではなく、「動きながら考える」姿勢を示すことで、
チームは安心して試行錯誤を繰り返すことができるのです。
挑戦とは、勇気ではなく信頼の選択である
最上雄太(2025)は『人を幸せにする経営』(国際文献社)で、
「挑戦とは、勇気ではなく信頼の関数である」と述べています。
人は、自分と仲間を信じられるほど、未知の領域に踏み出すことができます。
信頼こそが、行動を支える感情的エネルギーです。
リーダーにとって、リスクを取るとは「自分を信じて突き進む」ことではありません。
むしろ、他者との信頼関係の中で、共に進むことを選ぶ姿勢です。
チームが「この人となら挑戦できる」と感じるとき、
不確実性は恐怖ではなく、希望へと変わります。
リスク選好性は、特別な才能ではなく、日々の判断の積み重ねです。
自分の感情を理解し、恐れを受け入れながらも、
仲間と共に未来を選び取る力。
それが、信頼を育てるリーダーシップの根になります。
あなたが最近、ためらいながらも行動を選んだ瞬間はいつでしょうか。
その小さな一歩が、チームの勇気につながっているかもしれません。
🔗 関連記事:
失敗受容力──失敗を語れるリーダーが、信頼を育てる
📚 参考文献
- アダム・グラント(Adam Grant)(2021)『再考する力(Think Again)』ダイヤモンド社
- 最上雄太(2025)『人を幸せにする経営』(国際文献社)
 https://amzn.to/42PGL2y
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