最上雄太と“関係のプロセス”──問いの原点とINNERSHIFT思想の核心 | INNERSHIFT
誰かが話し始めるだけで、部屋の温度が変わる瞬間があります。同じメンバー、同じ議題なのに、会議が急に軽くなったり、逆に重たく沈んだりすることがあります。 子どもの頃、私はその“空気の変わり目”に妙に敏感でした。人よりも言葉 […]
「誰かひとり」が背負うのではなく、「みんなで導く」チームへ。
変化の激しい環境では、ひとりのリーダーがすべてを決め、すべてを抱え込むやり方には限界があります。状況に応じて役割を分け合い、ときにはメンバーが前に出てリーダーシップを発揮する──そうした「シェアド・リーダーシップ」のあり方が、世界中の組織で模索されています。
このWayテーマでは、「リーダーシップは誰のものか?」という問いを起点に、役割・感情・関係を分かち合うチームづくりを考えていきます。
役割を分かち合うことで、チームの可能性は広がっていく。
会議でのファシリテーション、現場との調整、上層部とのコミュニケーション、メンバーの育成──気づけば、チームの要になりそうな仕事がすべてリーダーのもとに集まってしまうことがあります。
その状態が続くと、「自分が動かなければ進まない」という感覚が強まり、チーム全体の自律性が下がっていきます。メンバーもまた、「リーダーの判断を待つ」ことに慣れ、挑戦や提案の機会を手放してしまうかもしれません。
シェアド・リーダーシップは、リーダーシップの“総量”を増やす考え方です。ひとりのリーダーを弱めるのではなく、「場の中にリーダーシップがいくつも立ち上がる状態」をつくること。その起点は、「この役割は誰が担うと一番生きるか?」という問いを、チームで共有することにあります。
立場だけでなく、「気持ち」「しんどさ」「誇り」も循環させていく。
リーダーシップを分かち合うと言っても、権限や役職を細かく分配するだけではうまくいきません。大切なのは、「誰が、どんな感情を引き受けているか」に目を向けることです。
たとえば、メンバーの声を受け止める役割を担う人には、不満や戸惑いが真っ先に届きます。挑戦を打ち出す役割を担う人には、期待と同時にプレッシャーも集まってきます。役割だけでなく、その背後にある“感情の負荷”までひとりに集中すると、どこかで限界が訪れます。
シェアド・リーダーシップは、役割を分解しながら、「どの感情を、誰と分かち合うか」をチームで設計していくプロセスでもあります。「誰が前に出るか」だけでなく、「誰が支え、誰が対話を担い、誰が場の温度を確かめるか」。その分担が見えるほど、チームは互いの負荷と貢献を理解しやすくなります。
「誰が向いているか」ではなく、「どう分かち合うと活きるか」を見つける。
シェアド・リーダーシップを育てるとき、よくある問いは「誰がリーダーに向いているか」です。しかし、Emotional Compass が大切にするのは、「どんな特性を、どう組み合わせるとチームが活きるか」という視点です。
たとえば、対話の場をつくることが得意な人、状況を俯瞰して整理することが得意な人、未知の挑戦に一歩踏み出すことが得意な人──それぞれの特性は、単体で完璧である必要はありません。むしろ「弱さ」や「ためらい」も含めて、組み合わせることでチーム全体の強みになります。
Emotional Compass では、シェアド・リーダーシップに関わる特性群(内省表現力、対話期待性、差異への耐性など)に着目しながら、「どのように役割と感情を分かち合うと、チームが前に進みやすくなるか」を考えていきます。
誰かひとりがすべてを抱え込むのではなく、特性の違いを認め合いながらリーダーシップを“分有”していくこと。そのプロセスを見つめ直すための鏡として、Emotional Compass を活用してもらえると嬉しいです。
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