なぜ同じ関係のあり方が繰り返されるのか
モノローグの関係は、一度生じて終わるものではなく、同じ形で繰り返される特徴があります。
場面や人が変わっても、似たような関係のあり方が再現されることがあります。
このような繰り返しは、個人の性格や一時的な状況だけでは説明しきれません。
その背景には、関係と価値が相互に影響し合いながら状態を維持する構造があります。
関係と価値は分けて考えられない
これまで見てきたように、モノローグの関係は関係の側面として現れ、成果主義がもたらす問題は価値の側面として現れます。
しかし実際には、この二つは独立して存在しているわけではありません。
どのような価値が重視されているかが関係のあり方に影響し、関係のあり方がその価値をさらに強めていきます。
このように、関係と価値は相互に作用しながら状態を形づくります。
価値の前提が関係を方向づける
成果主義のもとでは、評価の基準が明確であるほど、その影響は強くなります。
どのような成果が求められるのかが明確になることで、人々の行動はその基準に沿う形で選ばれやすくなります。
その結果、関係のなかでのやり取りも、評価に結びつきやすい形へと偏っていきます。
このような環境では、相互作用は次第に一方向化し、当事者としての関与は弱まり、関係はモノローグの形へと近づいていきます。
関係のあり方が価値を再生産する
一方で、モノローグの関係が成立すると、その関係は新しい価値を生み出す働きを持ちにくくなります。
相互作用が成立しない状態では、異なる視点が交わることがなく、既存の前提が見直される機会が生まれません。
その結果、現在の評価基準や価値の枠組みは、そのまま維持されやすくなります。
このようにして、関係のあり方が価値の前提を再生産していきます。
相互に補強し合う循環が生まれる
価値が関係を方向づけ、関係が価値を再生産する。
この二つの動きは、互いに独立しているのではなく、相互に補強し合う形で進みます。
評価の基準が行動を限定し、その行動が関係のあり方を形づくり、その関係が再び評価の基準を維持する。
このような構造が繰り返されることで、状態は変化しにくくなります。
このとき、関係と価値は循環するというよりも、一定の方向に固定されていく特徴を持ちます。
なぜこの状態から抜け出しにくいのか
このような構造は、外から見てすぐに問題として認識されるとは限りません。
成果主義のもとでは、一定の成果が出ている場合も多く、その状態が機能しているように見えることがあります。
また、関係のなかで大きな衝突が表面化していない場合、問題として意識されにくいこともあります。
そのため、関係や価値の前提が見直される契機が生まれにくく、状態は維持されやすくなります。
リーダーシップ不発生の成立メカニズムとしての位置づけ
モノローグの関係が繰り返される構造は、リーダーシップが発生しない状態がどのように維持されるのかを示すものです。
「リーダーシップが発生しない状態とは何か」が全体の枠組みを示し、「モノローグの関係の構造」と「成果主義がもたらす問題の構造」がそれぞれの側面を示すのに対して、本記事はそれらがどのように結びついているのかを示しています。
ここではじめて、状態・構造・メカニズムが一つの連続した理解としてつながります。
関係と価値の両面から捉える
モノローグの関係が繰り返される理由は、関係だけでも、価値だけでも説明することはできません。
- モノローグの関係の構造
- 成果主義がもたらす問題の構造
これらをあわせて捉えることで、関係と価値がどのように相互に作用しているのかが見えてきます。
また、このような構造は、Emotional Compassにおける関係管理の観点とも接続しています。
参考文献
最上雄太. (2024). 「関係リーダーシップ」が発生しない関係プロセスのエスノグラフィー―「関係リーダーシップ」発生メカニズムの解明に向けて―. 経営情報学会誌, 33(1), 1-14.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjasmin/33/1/33_1/_article/-char/ja/
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