なぜモノローグの関係を捉える必要があるのか
リーダーシップは、特定の個人の中に存在するものではなく、人と人との関係のなかで成立するプロセスとして捉えられます。
この前提に立つと、リーダーシップを理解するためには、それがどのように成立するのかだけでなく、どのようなときに成立しないのかを捉える必要があります。
モノローグの関係は、リーダーシップが発生しない状態を具体的に示す関係のあり方の一つです。
その構造を捉えることは、リーダーシップの成立条件を理解するための基盤となります。
モノローグの関係とは何を指すのか
モノローグの関係とは、人と人とのやり取りが存在していても、それが相互作用として機能していない状態を指します。
最上(2024)は、この状態を、次のような要素として捉えています。
- 一方的な関わり
- 他人事としての関与
- 無関心
これらは個別に現れるのではなく、関係のなかで重なり合いながら、相互作用の成立を妨げます。
なぜ関係の問題として現れるのか
リーダーシップを関係プロセスとして捉える場合、その不成立もまた関係のなかで現れます。
個人の意欲や能力の問題としてではなく、人と人との関わり方の中で、相互作用が成立しない状態として現れるのが特徴です。
モノローグの関係は、そのような状態の典型的な形であり、やり取りが存在していても、そこから新しい意味や方向性が生まれないという特徴を持ちます。
一方向化・他人事化・無関心という構造
モノローグの関係は、主に三つの要素によって成り立ちます。
一つ目は、一方向化です。
発信は行われていても、それが受け取られ、関係のなかで意味づけられるプロセスが成立していません。
二つ目は、他人事化です。
関係の中にいながらも、当事者として関わることがなく、出来事が自分とは切り離されたものとして扱われます。
三つ目は、無関心です。
相互作用そのものが成立せず、関係が更新される契機が生まれません。
これらは段階的に進むものではなく、関係のなかで同時に存在し、相互作用の不成立を支えています。
モノローグではない状態との違い
モノローグの関係は、表面的な行動だけでは判断できません。
発言が多いことが、相互作用の成立を意味するわけではありません。
また、静かであることが、必ずしも問題を示すわけでもありません。
指示や報告が明確に行われていても、それが関係のなかで意味を更新する動きにつながっていなければ、相互作用は成立していないと捉えられます。
重要なのは、やり取りの量や形式ではなく、それが関係として機能しているかどうかです。
リーダーシップ不発生の関係側面としての位置づけ
本記事は、リーダーシップが発生しない状態を、関係の側面から具体化するものです。
「リーダーシップが発生しない状態とは何か」が全体のフレームを示すのに対し、モノローグの関係は、その中で生じている関係のあり方を示しています。
これに対して、価値の側面では「成果主義がもたらす問題」といった形で、別の構造が関わっています。
関係と価値の両面から理解する
モノローグの関係は、それ単体で成立しているわけではなく、価値の前提とも関係しながら維持されます。
- リーダーシップが発生しない状態とは何か
- 成果主義がもたらす問題とは何か
これらをあわせて捉えることで、関係と価値の両面から構造を理解することができます。
また、こうした関係のあり方は、Emotional Compassにおける関係管理の観点とも接続しています。
参考文献
最上雄太. (2024). 「関係リーダーシップ」が発生しない関係プロセスのエスノグラフィー―「関係リーダーシップ」発生メカニズムの解明に向けて―. 経営情報学会誌, 33(1), 1-14.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjasmin/33/1/33_1/_article/-char/ja/
INNERSHIFTからのお知らせ
JOURNAL
https://innershift.jp/journal
Emotional Compass
https://innershift.jp/compass-diagnosis/
YouTube
https://www.youtube.com/@INNERSHIFT
