誰かが話し始めるだけで、部屋の温度が変わる瞬間があります。
同じメンバー、同じ議題なのに、会議が急に軽くなったり、逆に重たく沈んだりすることがあります。
子どもの頃、私はその“空気の変わり目”に妙に敏感でした。
人よりも言葉よりも、そのあいだで起きている微細な変化の方が気になって仕方がありませんでした。
当時はもちろん、それが自分の仕事や研究につながるとは思っていません。ただ一つだけ確かだったのは、「人は言葉ではなく“関係の温度”で動いている」という実感でした。
本稿は、その感受性がどのように現在のINNERSHIFTやEQリーダーシップ®につながっているのかを記す、小さな記録です。
原点:人の間に起きる“温度の変化”に触れた最初の瞬間
家庭でも学校でも、私は「人はなぜこの瞬間に話せなくなるのか」「なぜ急に安心して笑い始めるのか」が気になっていました。
誰が強いか、誰が正しいかよりも、**人と人のあいだで何かが“変わる瞬間”**が気にかかっていたのです。
その感覚は、大人になっても消えませんでした。
立場が強い人が一言発するだけで、誰かの目線が下がる。
誰かがふと本音をこぼしただけで、周囲の空気がほどける。
その “変化のプロセス” が、ずっと自分の関心の中心にあり続けました。
今ふりかえると、この感受性こそが、後の研究テーマや思想の根になっていたのだと思います。
研究での気づき:理論では説明しきれない“関係の動き”
大学院で組織行動や心理学を学ぶ中で、理論には強い魅力を感じていました。
しかし、どれだけ書籍を読み、研究論文を追いかけても、現場で見てきた“関係の変わり目”は、きれいな言葉には収まりませんでした。
たとえば、同じスキルを持つリーダーでも、関係が揺らぐ瞬間には行動が大きく変わります。
その逆に、関係が整うと、不器用でも人が動き始める。
私はその違いを、理論ではなく 「感情 → 行動 → 関係」 という循環で捉えるしかないと気づきました。
EQリーダーシップ®が“関係性”を中心に据えているのは、こうした研究と現場の往復の中で、私にとって自然な結論だったのです。
INNERSHIFTの源流:人の変化は“関係”から始まるという確信
INNERSHIFTは「個の発達」ではなく、「関係の発達」を扱う営みです。
これはコンセプトとして後から載せたものではありません。
実践と研究と個人史が、一本の線に収束した結果です。
Emotional Compassは、自分の感情の意味をつかみ、行動のクセを見つめ、関係を育てていくプロセスを丁寧に扱います。
それは単なるスキルではなく、人の変化がいつも“あいだ”から生まれるという確信に基づいています。
なぜ私は関係のプロセスにこだわり続けるのか?
理由はとてもシンプルです。
人は単独で変わるのではなく、誰かとの関係の中でしか変わらない。
その実感こそが、INNERSHIFTという営みの源流になっています。
あなた自身の“関係の変わり目”はどこにあるだろうか
私の問いは、どこか個人的で曖昧なところから始まりました。
しかし、その曖昧さこそが、関係の本質を探る入り口だったのだと思います。
この記事は、私の個人史を語りたいわけではありません。
読んでくださるあなた自身の背景の中にも、きっと“あの瞬間”があるはずです。
誰かの一言で空気が変わった瞬間。
自分の心が揺れて、関係の意味が変わった瞬間。
あなたの人生には、どんな“関係の変わり目”があったでしょうか。
その問いの続きは、またどこかでお話しできればと思います。
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