言葉にすることで自分を知る|内省表現力を高める方法

執筆:最上 雄太

内省表現力とは

自分の考えや気持ちをうまく言葉にできず、もどかしさを感じたことはありませんか。心の中では理解していても、言葉にすると曖昧になってしまう。そんな経験は誰にでもあります。

内省表現力とは、自分の内面を整理し、感情や考えを言葉で表現する力です。Emotional Compassでは、本特性は自己認識(SA)因子に属します。特性であり、この力の低さは欠点ではなく「沈黙を守る冷静さ」や「感情を拙速に口にしない慎重さ」といった強みの裏返しでもあります。ただし、表現できる幅が広がれば、思考を共有する力が高まり、信頼形成に直結します。


研究が示す内省表現力の力

心理学者ペネベーカーは、感情や出来事を言葉で表現する「表現的ライティング」がストレスの軽減や心身の健康に寄与すると指摘しています。
「表現的ライティング」とは、日記のように自分の体験や感情を率直に書き出し、出来事の意味を整理する手法です。数分間でも率直に書くことで気持ちの混乱が落ち着き、自己理解が深まります。

ハーバード・ビジネス・レビュー(HBR)の記事『自己認識とは何か、どう育むか(What Self-Awareness Really Is and How to Cultivate It)』で、エウリッチ(2018)は、自己認識を高めるためには「内省を言葉にして他者と共有すること」が不可欠だと述べています。リーダーが自らの思考や感情を率直に言葉にすると、周囲からの信頼が厚くなり、組織の透明性も高まると報告されています。

さらに経営学の観点では、最上雄太(2022)が『シェアド・リーダーシップ入門』において「リーダー自身の内省を共有すること」がフォロワーの主体性を引き出す契機になると述べています【Amazon】。また近著(2025)『人を幸せにする経営』では、内省を開示するリーダーが「安心と挑戦が共存する文化」を育てると強調しています【Amazon】。


実践のためのレシピ

内省表現力が特性として弱めの傾向がある場合でも、次の工夫で少しずつ鍛えることができます。


信頼を育むリーダーへ

リーダーが自らの内省を言葉にして共有すると、メンバーも自分の考えや気持ちを表現しやすくなります。これは心理的安全性を高め、チーム全体の創造性や相互理解を深めます。特に変化の大きな局面では、リーダーの自己開示がチームをつなぐ灯火の役割を果たします。


あなた自身は?

最近の出来事について、自分の気持ちを言葉にしてみたことはありますか? そのとき、心の中が少し整理されたと感じたでしょうか? そして、その表現はあなたのリーダーシップにどんな影響を与えているでしょうか?


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参考・出典

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