内省継続力とは
一度は日記や振り返りを始めたのに、気づけば続かなくなっていた──そんな経験はありませんか。忙しさや気分に左右され、三日坊主になってしまうことは誰にでもあります。
内省継続力とは、日常の中で自分の思考や感情を振り返る習慣を持続できる力です。Emotional Compassでは、本特性は自己認識(SA)因子に属します。特性であり、この力が弱めだと、内省を始めても継続が難しく、気づきが断片的にとどまりがちです。
ただし、これは必ずしも弱みではありません。むしろ「必要以上に考え込まず、行動に移しやすい」という強みの裏返しでもあります。大切なのは、自分に合った小さな工夫で「続けられる形」を見つけることです。
研究が示す内省継続力の効果
科学者のジェームズ・クリア(2018)は、著書『原子の習慣(Atomic Habits)』で「習慣は一度に大きく変えるのではなく、1%の小さな改善を積み重ねることで持続する」と指摘しています。
つまり、大きな目標よりも“日々の小さな一歩”に焦点を当てることで、行動は無理なく継続できるのです。
ハーバード・ビジネス・レビュー(HBR)の記事『ジャーナルをつけてより良いリーダーになる(Keep a Journal to Become a Better Leader)』(2016)は、日々の短いジャーナリング、すなわち日記やメモのように自分の思考や感情を書き出す行為が、リーダーの自己認識を高め、意思決定の質を改善すると紹介しています。継続的な振り返りは、単なる自己満足ではなく、組織にとっても価値を生むのです。
さらに経営学の視点からは、最上雄太(2022)が『シェアド・リーダーシップ入門』で「内省の習慣を持つリーダーは、チームに持続的な学習文化を広げる」と強調しています【Amazon】。また近著(2025)『人を幸せにする経営』では、日常的な内省が「幸福度と生産性を両立させる組織の基盤」になると指摘しています【Amazon】。
実践のためのレシピ
内省継続力が特性として弱めの傾向がある場合でも、次の工夫で小さく続けていくことができます。
- 1日1分だけの振り返り:長文でなくても、今日の感情を一言で記録する
- 「問い」だけを持つ:答えを書かなくても、「今日はどんな学びがあったか?」と問いを立てる
- 支え合う仕組み:仲間とシェアしたり、アプリを使って習慣化を助ける
- 形式にこだわらない:日記・音声メモ・振り返り会議など、自分に合った方法で続ける
信頼を育むリーダーへ
リーダーが小さな内省を継続し、それを共有すると、メンバーも自然と自分を振り返る習慣を持ちやすくなります。これはチーム全体の心理的安全性を高め、組織に「学び続ける文化」を育む力となります。
あなた自身は?
最近、どんな内省を続けていますか? 続けることが難しかったとき、その理由は何だったでしょうか? そして、もし小さな工夫で内省を続けられたら、あなたのリーダーシップにどんな変化が生まれるでしょうか?
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参考・出典
- Clear, J. (2018). 『原子習慣(Atomic Habits)』. Penguin Random House.
- Harvard Business Review, 『ジャーナルをつけてより良いリーダーになる(Keep a Journal to Become a Better Leader)』, 2016|https://hbr.org/tip/2016/03/keep-a-journal-to-become-a-better-leader
- 最上雄太(2022)『シェアド・リーダーシップ入門』(国際文献社)|https://amzn.to/3IqOixG
- 最上雄太(2025)『人を幸せにする経営』(国際文献社)|https://amzn.to/4n7WstO