リーダーシップの前提としての自己|「自分の足元」から始まる|EQリーダーシップ® Core

執筆:最上 雄太

前回の記事では、自己認識をリーダーシップの「源泉」として捉える視点を提示しました。

そこでは、自己認識を能力やスキルとして扱うのではなく、
判断や関係が立ち上がる前提として位置づけることで、
リーダーシップの見え方がどのように変わるのかを確認しました。

▶ 前回記事:
https://innershift.jp/emotional-compass/core/self-awareness-leadership-source/

本記事では、その議論をさらに一段深め、
自己認識という視点そのものが、どのような立脚点の上に成り立っているのかに目を向けていきます。

自己を「内側にあるもの」として捉える前に、
私たちはどこに立ち、どの前提から世界を見ているのか。

その足場を捉え直すことが、
本記事の中心的なテーマです。


「自分を見る」という発想は、どこでズレるのか

自己理解は、なぜ「内省」や「分析」に回収されてきたのか

自己理解や自己認識という言葉が使われるとき、
多くの場合、それは「自分の内面を見つめること」や
「自分を分析すること」と同義で語られてきました。

自分の強みや弱みを把握すること。
感情の癖や思考パターンを振り返ること。

こうした営みは、確かに一定の意味を持ちます。
しかし同時に、そこには一つの前提が含まれています。

それは、自己が個人の内側に完結した対象として存在している
という前提です。

「内面を深く掘る」ことで起きる理論的な限界

自己を内側に閉じた対象として扱うとき、
判断や行動は「その人の性格」や「内面の傾向」に還元されやすくなります。

しかし実際には、同じ人であっても、
置かれる状況や関係性によって判断は大きく変わります。

このとき見落とされやすいのは、
人がどこに立ち、どの前提から現実を見ているかという構造です。


セルフコンセプトが置いた、もう一つの前提

ここで参照する「セルフコンセプト」とは、
最上雄太(2012)
セルフコンセプト—私らしいマネジメントを目指して
において提示された、自己とマネジメントをめぐる初期の思想的枠組みです。

この著作は、後年に整理されるEQリーダーシップ®や自己認識仮説に先立ち、
「自分の足元を見つめる」という視点を中核に据えながら、
自己・他者・関係・時間をどのように捉えるかを、
理論的に言語化しようとしたものでした。

「足元を見る」という表現が指しているもの

セルフコンセプトでは、「自分の足元を見る」という表現が繰り返し用いられています。
それは比喩的な言い回しではありません。

ここで言う足元とは、
自分の感情や思考を観察することではなく、

いま、自分はどの前提に立って世界を捉えているのか
という立脚点を指しています。

自己は「内側」にあるのではなく、「立っている場所」に現れる

セルフコンセプトにおいて、自己は固定的な属性として扱われません。
性格や能力として内側に存在するものではなく、
関係と状況の中で立ち上がる主体として捉えられます。

自己とは、内面に隠れているものではなく、
常に「どこに立っているか」によって姿を現すものです。


立脚点という構造

立脚点とは「意見」や「価値観」ではない

立脚点は、個人の意見や価値観そのものではありません。
それらが形成される、さらに手前の前提条件です。

何を問題として捉え、
何を自然なものとして受け入れているか。

その前提が、判断の方向性を静かに規定しています。

立脚点が変わると、同じ現実の見え方が変わる

同じ出来事であっても、
立脚点が異なれば、意味づけは変わります。

行動が変わる前に、
意味の構造がすでに変わっているのです。


なぜ、この位置から自己認識を考えるのか

自己認識を「能力」にしないために必要な視点

自己認識を能力やスキルとして扱うと、
それは「高めるもの」「鍛えるもの」へと回収されます。

しかし、ここで扱っている自己認識は、
能力ではありません。

自分がどの前提に立って判断しているかを把握する視点です。

自己認識は、結果ではなく「前提の把握」として生じる

自己認識は、内省の結果として生まれるものではなく、
判断や関係が立ち上がる前提を捉えたときに生じます。

それは成長の物語ではなく、
構造理解の帰結です。


リーダーシップを支える、最初の足場

行動の前に、すでに始まっているもの

リーダーシップは、発言や行動として現れる前に、
すでに始まっています。

どの立脚点から状況を捉えているか。
その前提が、判断や関係を方向づけています。

リーダーシップの源泉を「立脚点」に置くという仮説

リーダーシップの源泉を、
行動やスキルではなく、
立脚点に置くという仮説。

この仮説に立つと、
リーダーシップの見え方は大きく変わります。


参考文献


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