計画が止まったとき、リーダーが最初に手放すべき3つの思い込み|INNERSHIFT

執筆:最上 雄太

計画が止まる瞬間に、何が起きているのか

計画が行き詰まるとき、それは突然の失敗として語られがちです。
スポンサーの退社、予算の削減、規制の変更。
表面上は「想定外の出来事」が原因に見えます。

しかし実際には、多くの場合、問題は計画そのものではありません。
計画を支えていた前提条件が、すでに崩れているのです。

にもかかわらず、私たちは計画を「正しいもの」として守ろうとします。
その結果、努力は増え、消耗は進み、停滞が長期化します。

ここで問われるのは、能力でも根性でもありません。
前提が変わったとき、何を手放せるかというリーダーの判断です。

思い込み①「計画は押し通すものだ」

計画が止まり始めたとき、多くのリーダーはこう考えます。
「ここで引いたら、すべてが無駄になる」と。

しかし前提が崩れた状態で計画を押し通そうとすると、
制約だけが積み重なり、現場は疲弊していきます。

ここで必要なのは、撤退ではありません。
期待値の再設定です。

目標を下げることではなく、
制約と成果の交換条件を言語化すること。
何を守り、何を後回しにするのかを明確にすることです。

いま守っているのは、計画そのものなのか。
それとも、計画を守ろうとする姿勢なのか。
その問いが、立て直しの起点になります。

思い込み②「後ろ盾は一人いれば足りる」

計画が動いている間は、強力なスポンサーが一人いれば十分に見えます。
しかし環境が変わった瞬間、その支えは簡単に失われます。

単独スポンサーへの依存は、計画の脆弱性を高めます。
正しさよりも、支援構造の広さが生存確率を左右するからです。

ここで必要なのは、政治的な駆け引きではありません。
政治的資本の再構築です。

単独支援から、連合型支援へ。
財務、業務、営業それぞれに意味づけされた関係を持つこと。
計画の可視性と接点を、意図的に増やすこと。

あなたの計画は、誰の理解に支えられているでしょうか。
その問いが、次の一手を決めます。

思い込み③「レジリエンスは気合いで増える」

計画が詰まり始めると、現場は火消しに追われます。
一つ一つの問題に必死で対処しながら、
同じ種類の詰まりが、何度も繰り返されていきます。

この状態では、失敗の兆候が個人の責任にされてしまいます。
結果として、学びは蓄積されません。

ここで必要なのは精神論ではなく、
レジリエンスの仕組み化です。

事前に失敗を想定する検討。
障害をログとして共有する仕組み。
詰まりを「予測可能な事象」に変えていく設計。

そのトラブルは、次に備えるデータになっているでしょうか。
それとも、ただの消耗で終わっているでしょうか。

失敗の兆候は、立て直しの入口になる

計画が止まったとき、問われるのは正しさではありません。
前提を更新する力です。

停滞は、撤退命令ではありません。
組織の設計を問い直せという合図です。

いまの停滞は、
あなたに何を作り替えろと促しているでしょうか。

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参考文献


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