リーダーシップは、他者との関係性の中で発揮されるものです。
対話し、影響し、関係を編み直していく。その前提に異論はありません。
一方で、東洋経済オンラインに掲載された記事は、少し異なる角度から「できる人」の姿を描いています。そこでは、「孤独力」を発揮できる人ほど、質の高い判断や行動につながっているという主張が提示されています。
関係の中心にいるはずのリーダーと、「一人になる力」。
この組み合わせは、一見すると矛盾しているようにも見えます。しかし、この違和感こそが、立ち止まって考える価値のある問いを含んでいます。
「できる人ほど孤独力を持つ」という逆説
東洋経済オンラインの記事では、孤独力について次のように述べられています。
「孤独力とは、意図的に一人の時間をつくり、自分自身と向き合う力だ」。
年末年始のように人との接触が増える時期に、あえて距離を取り、情報や関係から一歩引いた場所で考えること。それが、判断の質を高めるとされています。
ここで注目したいのは、孤独力が「孤立」や「内向き」を意味していない点です。
記事が示しているのは、つながりを拒む態度ではなく、つながりから一時的に離れる選択です。
それでも、「リーダー=他者との関係性」という強いイメージがあるからこそ、「できる人ほど孤独力を持つ」という主張は逆説的に響きます。
なぜ、関係の只中にいるはずの人ほど、あえて一人になろうとするのでしょうか。
孤独力は「人を避ける力」ではありません
孤独力という言葉は、誤解されやすい概念です。
人を遠ざけること、関係を断つこと、自分の殻に閉じこもること。そうしたイメージに回収されてしまうと、この言葉が持つ意味は大きく損なわれてしまいます。
東洋経済オンラインの記事が示している距離の取り方は、「人」そのものからの距離ではありません。
距離を取っている対象は、むしろ次のようなものです。
期待、評価、空気、そして即時的な反応。
常につながっている状態では、判断の主語は知らず知らずのうちに他者へと移っていきます。
「どう見られるか」「どう評価されるか」が先に立ち、自分が何を引き受けるのかという問いは後景に退いてしまいます。
孤独力とは、関係を否定する力ではなく、関係性に飲み込まれないための力なのではないでしょうか。
一度、関係の渦から身を引き、自分の違和感や迷いをそのまま引き受ける時間を持つ。そのための距離の取り方を指しているように思えます。
関係に戻るために、一度降りるという選択
リーダーは、関係の外に立つ存在ではありません。
むしろ、関係の中心に立ち続ける役割を担っています。だからこそ、ずっとその場に居続けることはできません。
一度「私」に戻らなければ、再び関係に入れない瞬間があります。
孤独の時間が回復させるのは、判断の主語です。
何を大切にするのか、どのリスクを引き受けるのか。その問いに向き合うためには、他者の期待から距離を取る必要があります。
その上で、再び関係へと戻っていく。
この往復こそが、リーダーシップを支えているのかもしれません。
ここで照らし合わせたくなるのが、Emotional Compassの特性です。
たとえば、関係に戻れると信じられる感覚は、対話期待性と重なります。
意見の違いを抱えたまま立ち続ける力は、差異への耐性とも響き合います。
これらは答えを与える枠ではなく、状況を見つめ直すための視点にすぎません。
孤独を避けるべきものとして扱ってきたとしたら、私たちは何を守ろうとしてきたのでしょうか。
つながり続けることで、逆に手放してしまったものはないでしょうか。
そして、あなたが一度「一人になる」必要があるのは、どんなときでしょうか。
参考文献
東洋経済オンライン
https://toyokeizai.net/articles/-/924461
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