フィードバックを受けたとき、
私たちは自然と「理解しよう」とします。
何を意味しているのか。
どこを直せばいいのか。
どのように改善すべきか。
その姿勢は前向きです。
より良くなろうとする意志でもあります。
ただ、その瞬間に、ひとつの前提が入り込んでいます。
それは、「自分の枠の中で理解する」という前提です。
フィードバックは、なぜ変化につながらないのか
360度評価を受けても、
それだけで行動が変わるとは限りません。
実際、フィードバックそのものではなく、
その後に行われる対話が、変化を左右することが指摘されています。
ダイヤモンド・ハーバード・ビジネス・レビュー
「優秀な人ほど陥る『フィードバックの誤解』とは」
ブレンダ・スタインバーグ
https://dhbr.diamond.jp/articles/-/13466
評価は起点にすぎず、
変化は対話の中で起きる。
この視点に立つと、
フィードバックの扱い方そのものを見直す必要が見えてきます。
受け止めようとするほど、対話は閉じる
フィードバックを受けたとき、
人は「受け止めよう」とします。
否定せず、受け入れようとする。
学びに変えようとする。
ただ、そのとき同時に起きていることがあります。
それは、解釈の開始です。
意味を整理しようとする。
自分の中で納得しようとする。
その過程で、
言葉の背後にあるものが切り落とされていきます。
なぜそう感じたのか。
どの場面でそう思ったのか。
どのような影響があったのか。
こうした部分に触れる前に、
「理解したつもり」が立ち上がる。
その状態で対話に入ると、
わずかなズレが生まれます。
説明しようとする。
補足しようとする。
あるいは、無意識に弁明が混じる。
その変化は小さくても、
相手にははっきりと伝わります。
そして、「もう十分に伝わった」と感じたとき、
言葉は止まります。
サーバント・リーダーが変えるのは“順番”
ここで、ひとつ順番が入れ替わります。
受け止める前に、聴く。
この順番は、
単なるコミュニケーションの工夫ではありません。
対話の前提そのものを変える動きです。
「聴く」とは、何をしないことか
ここでいう「聴く」は、
理解することではありません。
正しく解釈することでも、
納得することでもありません。
むしろ、何かをしない状態に近いものです。
言葉を急いでまとめない。
意味を決めない。
正しさを探さない。
ただ、そのまま触れている。
この状態にあるとき、
相手の言葉は変わっていきます。
短い指摘だったものが、
具体的な場面に変わる。
断片的な印象だったものが、
背景や感情を伴って語られる。
同じフィードバックでも、
まったく異なる広がりを持ち始めます。
対話が開くときに起きていること
十分に聴かれたとき、
人は話し続けます。
そして、初めて見えてくるものがあります。
自分が受け取っていたものと、
相手が伝えようとしていたもののあいだの差。
その差が見えてはじめて、
「受け止める」という行為が意味を持ちます。
サーバント・リーダーとは何をしているのか
サーバント・リーダーは、
まず自分を変えようとはしません。
その前に、
相手が語れる状態を整えようとします。
この在り方は、
サーバント・リーダー
というタイプにも表れています。
相手を支え、
その人が力を発揮できる環境を整える。
そのために、
前に出るのではなく、関係の土台をつくる。
その土台のひとつが、
「聴く」という状態です。
関係は、順番で変わる
受け止める前に、聴く。
この順番は、
大きな変化ではありません。
ただ、対話の中で静かに作用し、
関係のあり方を変えていきます。
フィードバックは、
誰かを正すためのものではありません。
関係の中にある見え方を、
少しずつひらいていくものです。
その入り口にあるのは、
「どう受け止めるか」ではなく、
「どのように聴いているか」なのかもしれません。
参考文献
ダイヤモンド・ハーバード・ビジネス・レビュー
「優秀な人ほど陥る『フィードバックの誤解』とは」
ブレンダ・スタインバーグ
https://dhbr.diamond.jp/articles/-/13466
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