なぜ人は問題よりも「犯人」を探してしまうのか
組織で問題が起きた時、私たちは原因を探そうとします。
売上が下がった。
納期が遅れた。
離職が増えた。
プロジェクトが停滞した。
何が起きたのかを理解しようとすることは自然なことです。
しかし、その過程で不思議なことが起きる場合があります。
最初は問題について話していたはずなのに、いつの間にか話題が「誰が悪いのか」に変わっていくのです。
なぜ私たちは、問題そのものよりも犯人を探してしまうのでしょうか。
原因を探すことは自然な反応である
問題が起きれば、原因を知りたくなります。
なぜ起きたのか。
何が影響したのか。
どこに改善の余地があるのか。
原因を理解しなければ、同じ問題を繰り返してしまうかもしれません。
だから原因探索そのものは悪いことではありません。
むしろ必要なことです。
しかし、原因を理解しようとする営みは、ときに別の方向へ進むことがあります。
原因探索は「犯人探索」に変わることがある
問題が起きる。
原因を探す。
そのうち、
誰が悪かったのか。
どの部署の責任なのか。
誰が決定したのか。
という話になっていく。
もちろん、責任の所在を明らかにすることが必要な場面もあります。
しかし、問題を理解することと、犯人を見つけることは同じではありません。
それにもかかわらず、人はしばしば両者を混同してしまいます。
問題の構造を理解する前に、「誰のせいか」が焦点になってしまうことがあるのです。
「敵は外にいる」
組織学習の研究者ピーター・センゲは、『学習する組織(The Fifth Discipline)』の中で、組織が陥りやすい学習障害の一つとして、
「敵は外にいる(The enemy is out there)」
という考え方を紹介しています。
問題が起きると、その原因を自分たちの外側に求める。
上が悪い。
現場が悪い。
本社が悪い。
制度が悪い。
もちろん、それらが実際に問題の一部であることもあります。
しかし、原因が外側に固定された瞬間に、私たちは別の問いを失うことがあります。
犯人が見つかると安心する
犯人探索には、一種の安心感があります。
原因が明確になるからです。
「あの部署が悪い」
「上が理解していない」
「現場が動かない」
そう説明できれば、問題は理解できたように感じられます。
しかし、本当にそうでしょうか。
犯人が見つかった時、説明は完成するかもしれません。
けれど、思考もそこで終わってしまうことがあります。
なぜなら、
「私は何をしていたのか」
という問いが消えてしまうからです。
見えなくなるもの
問題の原因がすべて外側にあると考えた時、自分自身との関係は見えにくくなります。
私は何を見落としていたのか。
私は何を当然だと思っていたのか。
私はどのようにその状況に関わっていたのか。
これは、自分を責めるという意味ではありません。
むしろ、自分自身もその状況の一部として捉え直すということです。
問題は、外部に存在する「モノ」ではなく、自分も含めた関係の中で生まれていることがあるからです。
自己批判性とは何か
Emotional Compassでは、「自己批判性」を24特性の一つとして扱っています。
自己批判性とは、自分を責める力ではありません。
自分の考えや立場を疑い、
「本当にそうなのだろうか」
と立ち止まって見直す力です。
問題が起きた時、
「誰が悪いのか」
だけを考えるのではなく、
「自分は何を見ているのだろう」
と問い直してみる。
その姿勢が、新しい理解につながることがあります。
問題を理解するということ
犯人がいることと、犯人だけを見てしまうことは違います。
責任を明らかにすることが必要な場面もあります。
しかし、それだけでは問題の全体像は見えてきません。
問題を理解するとは、
誰が悪いかを決めることではなく、
何が起きているのかを見つめ直すことなのかもしれません。
そして、その問いの中には、
いつも自分自身も含まれているのかもしれません。
参考文献
Peter M. Senge(1990)
The Fifth Discipline: The Art and Practice of the Learning Organization.
(邦訳:『学習する組織―システム思考で未来を創造する』英治出版)
参考記事
なぜ私たちは「ウエ」を見上げ続けるのか──見えないリーダー #9
INNERSHIFTからのお知らせ
JOURNAL
https://innershift.jp/journal
Emotional Compass
https://innershift.jp/compass-diagnosis/
自己批判性
https://innershift.jp/twentyfour-traits/trait_17/
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組織で問題が起きた時、私たちは原因を探そうとします。
売上が下がった。
納期が遅れた。
離職が増えた。
プロジェクトが停滞した。
何が起きたのかを理解しようとすることは自然なことです。
しかし、その過程で不思議なことが起きる場合があります。
最初は問題について話していたはずなのに、いつの間にか話題が「誰が悪いのか」に変わっていくのです。
なぜ私たちは、問題そのものよりも犯人を探してしまうのでしょうか。
原因を探すことは自然な反応である
問題が起きれば、原因を知りたくなります。
なぜ起きたのか。
何が影響したのか。
どこに改善の余地があるのか。
原因を理解しなければ、同じ問題を繰り返してしまうかもしれません。
だから原因探索そのものは悪いことではありません。
むしろ必要なことです。
しかし、原因を理解しようとする営みは、ときに別の方向へ進むことがあります。
原因探索は「犯人探索」に変わることがある
問題が起きる。
原因を探す。
そのうち、
誰が悪かったのか。
どの部署の責任なのか。
誰が決定したのか。
という話になっていく。
もちろん、責任の所在を明らかにすることが必要な場面もあります。
しかし、問題を理解することと、犯人を見つけることは同じではありません。
それにもかかわらず、人はしばしば両者を混同してしまいます。
問題の構造を理解する前に、「誰のせいか」が焦点になってしまうことがあるのです。
「敵は外にいる」
組織学習の研究者ピーター・センゲは、『学習する組織(The Fifth Discipline)』の中で、組織が陥りやすい学習障害の一つとして、
「敵は外にいる(The enemy is out there)」
という考え方を紹介しています。
問題が起きると、その原因を自分たちの外側に求める。
上が悪い。
現場が悪い。
本社が悪い。
制度が悪い。
もちろん、それらが実際に問題の一部であることもあります。
しかし、原因が外側に固定された瞬間に、私たちは別の問いを失うことがあります。
犯人が見つかると安心する
犯人探索には、一種の安心感があります。
原因が明確になるからです。
「あの部署が悪い」
「上が理解していない」
「現場が動かない」
そう説明できれば、問題は理解できたように感じられます。
しかし、本当にそうでしょうか。
犯人が見つかった時、説明は完成するかもしれません。
けれど、思考もそこで終わってしまうことがあります。
なぜなら、
「私は何をしていたのか」
という問いが消えてしまうからです。
見えなくなるもの
問題の原因がすべて外側にあると考えた時、自分自身との関係は見えにくくなります。
私は何を見落としていたのか。
私は何を当然だと思っていたのか。
私はどのようにその状況に関わっていたのか。
これは、自分を責めるという意味ではありません。
むしろ、自分自身もその状況の一部として捉え直すということです。
問題は、外部に存在する「モノ」ではなく、自分も含めた関係の中で生まれていることがあるからです。
自己批判性とは何か
Emotional Compassでは、「自己批判性」を24特性の一つとして扱っています。
自己批判性とは、自分を責める力ではありません。
自分の考えや立場を疑い、
「本当にそうなのだろうか」
と立ち止まって見直す力です。
問題が起きた時、
「誰が悪いのか」
だけを考えるのではなく、
「自分は何を見ているのだろう」
と問い直してみる。
その姿勢が、新しい理解につながることがあります。
問題を理解するということ
犯人がいることと、犯人だけを見てしまうことは違います。
責任を明らかにすることが必要な場面もあります。
しかし、それだけでは問題の全体像は見えてきません。
問題を理解するとは、
誰が悪いかを決めることではなく、
何が起きているのかを見つめ直すことなのかもしれません。
そして、その問いの中には、
いつも自分自身も含まれているのかもしれません。
参考文献
Peter M. Senge(1990)
The Fifth Discipline: The Art and Practice of the Learning Organization.
(邦訳:『学習する組織―システム思考で未来を創造する』英治出版)
参考記事
なぜ私たちは「ウエ」を見上げ続けるのか──見えないリーダー #9
INNERSHIFTからのお知らせ
JOURNAL
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Emotional Compass
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自己批判性
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