■ はじめに
組織の中で「変化が起きた」と感じる瞬間は、必ずしも大きな意思決定や劇的な改革ではありません。
むしろ、静かな変化──ふと交わされた言葉、いつもと違う表情、誰かの小さな勇気──
そうした “微細な関係の揺れ” から始まります。
しかし多くの職場では、こうした変化を丁寧に扱う余白がありません。
忙しさに押し流され、気づいたら問題が深く固まっていることさえあります。
第3話では、
「関係の変化はどこで生まれ、どう育つのか」 を、
INNERSHIFTの視点でひらいていきます。
■ 関係の変化は、“語り”から始まる
変化は、必ずしも行動そのものからではなく、
「語り直し」から始まることがあります。
たとえば、
- “あのとき、本当はどう感じていたのか”
- “なぜ、言葉にしなかったのか”
- “自分は何を大切にしていたのか”
こうした語りが重なった瞬間、
メンバーのあいだの見えにくい結び目(誤解・遠慮・期待)がほどけていきます。
組織心理学の研究では、
「関係の変化は、行動の前に“認知の再編成”が起きる」
とされています。
すなわち、
「出来事の理解」が変わることで、
「関係の意味」が変わり、
「行動の選択肢」が広がるのです。
この“丁寧な語り直し”を実現するための装置として
IS360 が設計されています。
■ IS360──個人と他者の語りを重ね、関係の現在地を描く
IS360は、
本人の語り(1人称)
+
まわりの語り(他者視点)
を重ねることで、
「関係の中で立ち上がるリーダーシップ」 を描くプログラムです。
ここでは数値化ではなく、
言葉としての“事実の記述” を大切にしています。
たとえば:
- 「最近、あなたが場を落ち着かせてくれた」
- 「以前より話を聞こうとしているのが伝わる」
- 「迷っているように見えたけれど、本当はどう感じていた?」
これらは評価ではなく、
“関係の観察記録” です。
本人の語りと重ね合わせると、
同じ行動でもまったく違う意味づけが浮かび上がります。
- 本人「迷っていた」
- 他者「慎重に検討してくれていた」
このズレは、対話を生み出す入口になります。
INNERSHIFTが目指すのは、
この“語りの重なり”を通じて、
関係が勝手に変わっていく状態をつくること です。
■ 関係は“対話”で育つ──JOURNALが果たす役割
関係の変化を支えるのは、
一度きりのフィードバックではありません。
むしろ、
日常の問いを扱い続けること によって、
関係はじわじわと育っていきます。
INNERSHIFT JOURNALは、
24の特性と、リーダーシップの物語を
読者の「今日」へつなぐための場です。
- 聞けなかった本音
- ふと湧いた不安
- 小さな喜び
- 判断に迷った瞬間
こうした出来事を「特性」という言葉に変換すると、
内側の変化と、関係の変化が接続 されます。
JOURNALは、
日常の“問い”を取り戻すための灯台として機能します。
■ INNERSHIFTが描く“変化の物語”
INNERSHIFTが大切にしているのは、
“結果”ではなく、
「変化のプロセスがどのように育っているか」 です。
- 感情の理解 →
- 行動の選択 →
- 関係の変化 →
- 対話の再生産 →
- 新しい行動 →
- 再び関係が変わる
この螺旋のような循環を、
INNERSHIFTは Emotional Compass・IS360・EQリーダーシップ®・JOURNAL の
4つのモジュールで支えます。
第1話で扱った「問いの誕生」
第2話で扱った「感情→行動→関係の仕組み」
そして第3話の「関係の物語」
これが INNERSHIFT の思想の全体像です。
🔗 関連記事(第1話・第2話・第3話)
▶ 第1話:リーダーシップはどこで生まれるのか──見落とされてきた“問い”の力
https://innershift.jp/about/where-leadership-begins/
▶ 第2話:行動はどこから始まるのか──感情がつくる“選択のメカニズム”
https://innershift.jp/about/where-actions-begin/
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📚 参考文献
Simons, T.(2002)“Behavioral Integrity: The Perceived Alignment Between Managers’ Words and Deeds as a Research Focus.” Organization Science, 13(1), 18–35.
最上雄太(2025)『人を幸せにする経営(Working Title)』(国際文献社)
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