何かがうまくいかないとき、「なぜこうなってしまったのだろう」と自分を責めてしまう瞬間があります。
同じ出来事でも、視点を変えれば意味は変わります。
失敗は“終わり”ではなく、“次に活かせる材料”として捉えることもできる。
この視点の転換が、リーダーの中にある柔軟な力──リフレーミングです。
Emotional Compassでは、本特性は自己認識(SA)因子に属します。
Emotional Compassでは、この特性を自己管理(Self-Management)因子に位置づけています。
それは感情を抑える力ではなく、「出来事をどう見つめ直すか」という意味での自己管理。
ひとつの見方にとらわれず、感情や状況を多面的に捉える力が、
不確実な環境でのしなやかな判断を支えます。
見方を変えることで、感情が変わる
心理学では、私たちが経験をどう解釈するかによって、感じる感情そのものが変わるとされています。
スタンフォード大学の心理学者ジェームズ・グロス(James J. Gross, 2015)は、感情調整理論(Emotion Regulation Theory)の中で、「認知再評価(Cognitive Reappraisal)」という概念を提唱しました。
これは、出来事そのものを変えるのではなく、“出来事の意味”を再構築することで、感情を前向きに整える方法です。
たとえば、プロジェクトの失敗を「自分の限界」と捉えるか、「新しい方法を試せた機会」と捉えるか。
意味づけの違いが、次の行動を変えます。
リーダーに求められるのは、結果の良し悪しではなく、その経験から何を学び取るか。
感情の転換は、未来への視界をひらく最初の行動でもあるのです。
「意味を変える」リーダーの姿
最上雄太(2025)『人を幸せにする経営』(国際文献社)では、
リーダーとは「現実を肯定的に再構成し、人に希望を見せる存在」であると述べています。
それは、“事実を変える”のではなく、“事実の意味を変える”力。
困難な状況でも「この経験をどう活かせるか」と考える姿勢が、周囲の信頼を呼び起こします。
リフレーミングとは、楽観ではなく創造です。
出来事を違う角度から見つめることで、自分と他者の感情が再び動き出す。
その小さな変化が、チームに新しい物語を生み出します。
あなたは、どんな意味を見出しますか?
出来事の“意味”を決めるのは、いつも私たち自身です。
「なぜ失敗したか」ではなく、「そこから何を学べたか」に目を向けてみましょう。
その一歩が、リーダーとしての感情知性を育て、未来をつくる力になります。
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参考文献
- James J. Gross (2015) Emotion Regulation: Conceptual and Empirical Foundations, Handbook of Emotion Regulation (2nd ed.). Guilford Press.
- 最上雄太(2025)『人を幸せにする経営』(国際文献社) https://amzn.to/48rqTqt
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