共感が動き出すとき、リーダーシップは温度を帯びる
誰かの苦しみに気づいても、何をすればいいのかわからない。
手を差し伸べることが正しいのか、それとも見守るほうがいいのか。
共感は、ときに無力感を伴います。
しかし本当の共感とは、ただ感じることでも、同情することでもありません。
それは、相手の痛みに向き合いながら、自分の中で“動く”ことなのです。
Emotional Compassでは、本特性は社会的認識(SO)因子に属します。
感受(感じ取る)と傾聴(受けとめる)を経て、
この「共感的行動」は、他者との関係を実際に変えていく力として位置づけられます。
感じ取るだけでは届かない──共感の“次の一歩”へ
社会心理学者バトソン(Batson, 1991)は、
「他者の痛みを感じ取ることは、行動を促す原動力になる」と述べました。
共感は心の反応ではなく、行動を生むエネルギーです。
たとえば、落ち込む同僚に声をかける、困っている部下に時間を割く。
それは大きな行為ではないかもしれませんが、
その小さな“動き”が、相手の孤独を溶かしていきます。
共感的行動の本質は、「助ける」ことではなく、共に動くこと。
相手を“救う”のではなく、“支える”。
その姿勢に、成熟したリーダーシップの温度があります。
他者の痛みに向き合う勇気が、関係を深める
最上雄太(2025)『人を幸せにする経営』(国際文献社)では、
「支援とは、共感を社会化する力である」と述べています。
つまり、感じた優しさを“共有可能な行動”へ変えていくこと。
一人の共感が、チームの安心へ、そして組織の文化へと広がっていく。
共感を行動に変えるとは、単に善意を実践することではありません。
その根底には、勇気と責任感がある。
相手の痛みを見逃さない覚悟と、それを支える倫理がある。
だからこそ共感は、リーダーの力として成熟していくのです。
優しさを、行動に変える力
共感的行動は、特別なスキルではなく、日常の選択に宿ります。
・忙しい中でも「大丈夫?」と一言かける。
・相手の話に反応せず、ただ隣に座る。
・困っている誰かのために、自分の予定を少しだけ譲る。
それは、静かで、しかし確かな“動き”です。
行動には声の大きさは関係ありません。
小さな優しさが、関係を変える最初の光になります。
結び:あなたの共感は、どんな形で動いていますか?
共感の成熟とは、感情を抱くだけでなく、それをかたちにする勇気を持つこと。
誰かのために小さく動くことで、世界は少しずつ柔らかく変わっていきます。
そしてその動きこそが、人を幸せにする経営の最も静かな実践なのです。
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