誰も見ていない場所で、あなたは何を選びますか。誰かが見ていれば「正しいこと」をするのは容易い。けれど、見ている人がいないときにこそ、リーダーの本質は表れます。
誠実さとは、外に示す態度ではなく、内に持つ整合性(Integrity)のこと。Emotional Compassでは、本特性は関係管理(RM)因子に属します。それは約束を守る力でも、完璧であることでもなく、自分の言葉と行動が矛盾しないように生きる姿勢そのものです。
誠実さは信頼の始まり
職場での小さな判断──「この程度ならいいだろう」と思う瞬間。そこにこそ、誠実さが試されています。他人に見せるための行動ではなく、見えないところでどう選ぶか。その一貫性が、周囲に“信頼”という目に見えない通貨を生み出していきます。
リーダーは、部下がいない場面でもチームの文化を代表しています。信頼を築くとは、「誠実さを続けること」。その継続が、チーム全体の基調となり、安心を育てるのです。
誠実さはリーダーの最も重要な資質
ジェームズ・クーゼスとバリー・ポズナー(2002)『リーダーシップ・チャレンジ(The Leadership Challenge)』による世界的調査では、「信頼されるリーダーの最も重要な資質」として、誠実さ(honesty)が圧倒的に挙げられています。人は能力よりも、一貫性のある人を信じる。信頼は、派手な成果よりも、日常の整合性から生まれる。「言葉と行動が一致している人」こそ、安心してついていける存在なのです。
誠実さは、評価されるための戦略ではなく、リーダーとしての在り方です。組織が変化の波に揺れるときも、自分の価値観に立ち返る。それが、リーダーシップの静かな強さとなります。
誠実さは文化をつくる
最上雄太(2025)『人を幸せにする経営』(国際文献社)では、「誠実さは信頼の通貨である」と述べています。リーダーが日々の行動で誠実さを示すことが、チームに“安心の経済”を生み出す。それは理念や言葉ではなく、習慣としての選択です。
会議の場で自分の言葉に責任を持つ。約束の時間を守る。相手のいないところでこそ、誠実である。そうした日常の小さな積み重ねが、信頼を文化に変えていきます。
インテグリティとは、「正しいことを言う」力ではなく、「言ったことを生きる」力。それが、リーダーとしての品格をつくります。
自分の選択に誠実であるということ
誠実であるとは、迷わないことではありません。迷いながらも、信じる軸を手放さないこと。正しさよりも、一貫して誠実であろうとする姿勢が、周囲の信頼を育てます。
「この選択は、自分の言葉と一致しているだろうか」──そう問い直すたびに、私たちはリーダーとしての軸を磨いていく。今日、あなたの選択は何を語っているでしょうか。それが、誰かにとっての信頼の証になるかもしれません。
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📚 参考文献
- クーゼス, J. M.・ポズナー, B. Z.(2002)『リーダーシップ・チャレンジ(The Leadership Challenge)』
- 最上雄太(2025)『人を幸せにする経営』(国際文献社)|https://amzn.to/4n7WstO