内省継続力──自分と向き合い続ける時間が、信頼を育てる | INNERSHIFT

執筆:最上 雄太

朝、同じ道を歩きながら、ふと昨日と違う景色に気づく瞬間があります。
昨日と同じように見える日々の中にも、わずかな変化が潜んでいる。
その変化を受けとめ、自分に問いを立て直す。
リーダーの成長とは、その小さな問いを積み重ねる歩みのことかもしれません。

「内省継続力」とは、考えを一度きりで終わらせず、日々の経験を自分の糧にしていく力です。
それは“昨日の答えを今日の問いに変える”ような、静かな成長のリズムです。

Emotional Compassでは、本特性は自己認識(SA)因子に属します。


変化の時代に必要なのは、「問いを持ち続ける力」

私たちは日々、正解を求める社会に生きています。
早く答えを出し、結果を出すことが求められる中で、じっくり考える時間は奪われがちです。
けれど、本当に成長を支えるのは、問いを持ち続ける姿勢です。
問いを繰り返すことでしか、人は自分を更新できません。

教育学者ドナルド・ショーンは著書『省察的実践(The Reflective Practitioner)』(1983)で、
「行動の中の省察(reflection-in-action)」という概念を提示しました。
それは、ただ過去を振り返るのではなく、行動の最中に考え続ける力。
経験を止めずに意味づけし直すことで、実践そのものを進化させるという思想です。


内省を「習慣」として生きる

リーダーにとっての内省は、一度の研修や学びの場で終わるものではありません。
大切なのは、自分と向き合う時間を習慣にすることです。
それは、日記を書くことでも、対話を重ねることでも、ふと立ち止まって考えることでもいい。
大切なのは「今日も問い続けている」という事実です。

最上雄太(2022)『シェアド・リーダーシップ入門』(国際文献社)では、「リーダーとは、問いを持ち続ける存在である」と述べています。
内省とは、完成を目指すことではなく、未完成であり続ける勇気の表れ。
その姿勢がチームに安心と刺激をもたらし、組織の学びを持続させます。


成熟とは、「終わらない問い」を抱くこと

変化の速い時代において、昨日の正解は今日の誤りになるかもしれません。
それでも自分を見つめ直し、行動を修正できる人が、信頼されるリーダーです。
「内省継続力」は、そんなリーダーの静かな支え。
それは、“終わりのない問い”を抱く覚悟でもあります。

あなたは、昨日の自分にどんな問いを続けていますか。


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