最新号の 日経ビジネス に、
イオンの現場で進むAI活用を追った以下記事が掲載されていました。
イオン、AIで変わる12万人の現場:ウォルマート追うAIファースト
日経ビジネス電子版
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00831/122600003/
サービスカウンターで働く店員が、
端末に向かって問いかけると、
答えと手順が、ほとんど間を置かずに返ってくる。
その光景は、
「AIが導入された」という事実以上に、
現場で起きている別の変化を示しているように見えました。
AIが答えるということ
この記事で描かれているのは、
高度な技術の仕組みや、
AIの性能そのものではありません。
紙のマニュアルを探す時間が減り、
誰かに確認するために周囲を見渡す必要がなくなり、
その場で、次の行動を選べるようになる。
AIは前に出ていません。
判断の主役でもありません。
人が動くまでに生じていた
迷い、確認、立ち止まり。
それらが短くなっている。
その変化が、
現場の動きを変えています。
現場に戻ってくるもの
マニュアルを探す時間が減ると、
その分、別の時間が現場に戻ってきます。
お客さまの表情を見る時間。
言葉を選ぶ余裕。
次に何が起きそうかを考える間。
AIが答えることで、
人が考えなくなるわけではありません。
むしろ、
考えるための前提が整えられている
そう捉えたほうが近いように思えます。
判断の前段が変わる
現場での判断は、
突然ひらめきとして現れるものではありません。
多くの場合、
- 情報を確かめ
- 状況を整理し
- 周囲との関係を踏まえながら
形づくられていきます。
AIが担っているのは、
この判断に至るまでの前段です。
事実や手順が即座に示されることで、
人は判断そのものに集中できる。
結果として、
振る舞いが変わり、
現場のやりとりが変わっていきます。
ヒトの力が使われる場面
この変化は、
効率やスピードの話だけではありません。
相手の反応を読む。
場の空気を察する。
言葉にされていない困りごとに気づく。
こうした働きは、
あらかじめ正解が用意されているものではありません。
AIが答えを返す現場で、
人は、答えのない部分を引き受ける。
感情知性(EQ)が、
実際に使われる場面が、
はっきりと現れてきます。
この状況を言語化するなら
この状況は、
EQ研究の権威である ダニエル・ゴールマン が述べてきた、
自己や他者の感情に気づき、
それを意思決定に生かす力の働き方と重なります。
また、
組織開発の分野で知られる エドガー・シャイン が語った、
人が状況を言葉にできる関係性の重要性も、
この現場の変化と無関係ではありません。
理論を当てはめる必要はありません。
現場で起きていることが、
結果として、そうした研究の射程に重なっている。
それだけのことです。
技術が前に出ないという選択
記事の中でAIは、
あくまで補助として描かれています。
目立たず、
評価を求めず、
人の判断を置き換えない。
この立ち位置が、
ヒト×AIの関係を、
現実的なものにしているように見えます。
終わりに
AIが答える現場で起きているのは、
劇的な変化ではありません。
人が立ち止まらずに済み、
周囲を見る余裕が生まれ、
判断が少しだけ整う。
その積み重ねが、
組織のあり方を変えていく。
今回の記事は、
その過程を示した、
ひとつの実例でした。
元記事
- [新連載]イオン、AIで変わる12万人の現場
ウォルマート追うAIファースト
日経ビジネス電子版
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00831/122600003/
参考文献
- Daniel Goleman, Emotional Intelligence, Bantam Books
- Edgar H. Schein, Humble Inquiry, Berrett-Koehler Publishers
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