変えようとするほど、変わらない──変革の起点はどこにあるのか|INNERSHIFT

変革を掲げても、
人は思うようには変わりません。

新しい方針を示す。
制度を変える。
目標を再設定する。

それでも、現場の動きは変わらない。
あるいは、表面的には従っていても、
どこかで止まっている。

むしろ、働きかけるほど、
距離や違和感が生まれていく。

こうした経験は、
決して珍しいものではありません。

このとき、
何が起きているのでしょうか。


変革は「働きかけ」で起きるのか

変革は、意図して起こすものだと考えられています。

方向を示し、
行動を促し、
必要であれば圧力をかける。

そうした働きかけによって、
人や組織は変わっていく。

この考え方は、
多くの場面で前提として共有されています。

ただ、その前提に立ったとき、
説明しきれない現象が残ります。

変えようとしているのに、変わらない。
むしろ、変えようとするほど、動かなくなる。

このズレは、どこから生まれているのでしょうか。


人は、押されると戻ろうとする

人の行動変化に関して、
ジャック・ブレームによる「心理的リアクタンス理論(A Theory of Psychological Reactance)」という研究があり、そこでは、人は自分の選択の自由が制限されたと感じたとき、その自由を取り戻そうとして、むしろ逆方向に反応することがあると解説されています。

つまり、外から変えようとする働きかけは、
必ずしも変化を生むとは限らず、
状況によっては、変化を阻む力として働くことさえあるのです。

たとえば、

やり方を細かく指定されるほど、
自分なりのやり方に戻ろうとする。

強く方向を示されるほど、
距離を取ろうとする。

そうした動きは、
意図に反した反応ではなく、
自然な反応として起きています。


変革の抵抗は「意志」ではない

ここで見落とされやすいのは、
この抵抗が、必ずしも反発や怠慢から生まれているわけではない、という点です。

人は、自分で選んでいると感じられるときに、
はじめて動き出します。

逆に言えば、
選ばされていると感じた瞬間に、
その動きは止まります。

このとき起きているのは、
変化への拒否ではなく、
自由を守ろうとする反応です。


変革のリーダー

変革のリーダーとは、
変化を「起こす」ことそのものよりも、
人や組織の中で、変化がどのように立ち上がるかに関わるリーダーです。

外から動かすのではなく、
内側で意味が変わるプロセスに関わること。

その関わり方によって、
同じ働きかけでも、まったく異なる結果が生まれます。


変化は、どこで起きているのか

ここまで見てくると、
変革というものが、少し違って見えてきます。

変化は、
外から与えられるものなのでしょうか。

それとも、
内側で生まれるものなのでしょうか。

変えようとするほど、
変わらないことがある。

一方で、
特別な働きかけがなくても、
自然に変わっていくこともある。

その違いは、
どこにあるのでしょうか。


参考文献

Brehm, J. W.(1966)
“A Theory of Psychological Reactance”
Academic Press


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INNERSHIFTでは、
感情と意思決定、対話、リーダーシップの関係を
Emotional Compass を通じて探究しています。

本記事で扱った変革は、
外からの働きかけだけでは説明できない現象として、
どのように変化が生まれるのかを問い直すものです。

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