リーダーは未来を“いま”に変える──ビジョナリー・リーダーの時間設計|INNERSHIFT

執筆:最上 雄太

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ビジョンとは、未来の話のはずです。

まだ起きていないこと。
これから目指すもの。

それにもかかわらず、現実の場面では、
人はその“未来”に向かって、いま動きはじめます。

なぜ、まだ存在しないものに対して、
人は行動できるのでしょうか。


「いつかやる」では、人は動かない

私たちは普段、未来のことを「遠いもの」として扱っています。

そのうちやろう。
いつか取り組もう。

そう考えた瞬間、行動は先送りされます。

未来は、いまの判断とは切り離された場所にある。
だから、いま動く理由にはなりにくい。

ここには、時間の距離があります。

遠い未来は、行動を生まない。


未来が“いま”に入り込む瞬間

一方で、あるリーダーのもとでは、少し違うことが起きます。

その人が語る未来は、
ただ「いつか実現するもの」としてではなく、

まるで、すでに前提になっているかのように感じられる。

まだ起きていないはずなのに、
その未来を踏まえて「いま、どうするか」を考えてしまう。

気づけば、選択の基準が変わっています。

未来を待つのではなく、
未来からいまを見ている。

その瞬間、時間の感じ方が少しだけ変わります。


研究が示す、未来と行動のつながり

この関係は、心理学の研究でも示されています。

Markus, H., & Nurius, P.(1986)が提唱した「Possible Selves(可能自己)」の概念では、
人は「なり得る自分」のイメージを持つことで、現在の行動を変えていくとされています。

将来こうなりたい、あるいはこうはなりたくない。
そうしたイメージが、いまの選択や行動に影響を与える。

ここで重要なのは、
未来が“ただの想像”ではなく、
現在の判断に入り込んでいるという点です。

未来が心理的に近づくほど、
人はその未来に沿った行動を取りやすくなる。

だからこそ、まだ起きていない未来であっても、
行動の理由になり得るのです。


「いまの見え方」が変わる

未来が近づいたとき、変わるのは行動だけではありません。

同じ状況でも、見え方が変わります。

これまでは「リスク」に見えていたことが、
「必要な一歩」に見える。

迷っていた選択が、
自然な流れのように感じられる。

状況そのものは変わっていません。
変わっているのは、その意味づけです。

そして、その変化が、行動を生み出します。


未来が強すぎるとき

一方で、未来の力が強くなりすぎると、
別の難しさも生まれます。

理想が先に立ちすぎて、
現実との距離が広がる。

あるいは、
いま起きていることが見えにくくなる。

未来が力を持つからこそ、
その扱い方には、少しの注意が必要です。


未来を語るのではなく

ビジョナリー・リーダーは、
単に未来を語っているわけではありません。

その関わりの中で、
人が感じている「時間の感覚」そのものが変わっています。

未来が遠くにあるのではなく、
いまの判断に入り込んでくる。

そのとき、人は自然に動きはじめます。

ビジョンとは、
未来の説明ではなく、
「いま」をどう感じるかに関わるものなのかもしれません。

(ビジョナリー・リーダーについての詳細はこちら
https://innershift.jp/emotional-compass/compass-sec4/visionary-leader/)


参考文献

Markus, H., & Nurius, P.(1986)
Possible Selves


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