朝、同じ道を歩きながら、ふと昨日と違う景色に気づく瞬間があります。
昨日と同じように見える日々の中にも、わずかな変化が潜んでいる。
その変化を受けとめ、自分に問いを立て直す。
リーダーの成長とは、その小さな問いを積み重ねる歩みのことかもしれません。
「自己批判性」とは、考えを胸の中に閉じこめず、誠実に言葉へと変えていく力です。
それは“思っていることを伝える”だけではなく、“関係を深めるために語る”姿勢のこと。
Emotional Compassでは、本特性は関係管理(RM)因子に属します。
沈黙を恐れず、誠実に自分の意見を表現することが、信頼の礎を築いていきます。
防衛的でなく、支援的に話す
コミュニケーション心理学者のジャック・ギブ(Gibb, 1961)は、論文『防衛的コミュニケーション(Defensive Communication)』の中で、
「防衛的ではなく支援的に話すことが、信頼を生む」と述べています。
支援的な対話とは、相手を攻撃したり評価したりするのではなく、お互いが理解を深めようとする姿勢そのものを指します。
誠実に自分を主張するとは、「自分の意見を通すこと」ではなく、「相手との関係を守りながら本音を伝えること」です。
率直であることは、優しさの反対ではありません。
むしろ、誠実さの最も成熟した形だといえるでしょう。
本音を語ることが、信頼の礎になる
最上雄太(2025)『人を幸せにする経営』(国際文献社)では、
「誠実に意見を交わす組織は、安心して異論を出せる」と述べています。
意見をぶつけ合うことを恐れず、むしろそれを“信頼の証”として歓迎する文化。
その中心にいるのが、自己批判性を備えたリーダーです。
「違うと思う」と言える関係こそが、お互いを信頼している証でもあります。
リーダーが自分の想いを誠実に差し出すことで、チームの中に「言っても大丈夫」という安心が広がっていきます。
率直さは、関係を壊すのではなく深める
本音を語るとき、相手を変えることを目的にしなくてもかまいません。
自分が感じたことを、誠実に、敬意をもって伝えるだけで十分です。
その行為が、リーダーの信頼資産を静かに積み上げていきます。
自己批判性とは、“ぶつかる勇気”ではなく、“関わり続ける勇気”のことです。
それは、正しさよりも誠実さを選ぶ態度であり、
対話を恐れない成熟の表れなのです。
あなたは、どんな本音をまだ言葉にできずにいますか。
📚 参考文献
- Gibb, J. (1961). Defensive Communication. Journal of Communication.
- 最上雄太(2025)『人を幸せにする経営』(国際文献社)
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