失敗から前に進むリーダーシップ|自己批判性を活かした成長のヒント

執筆:最上 雄太

自己批判性とは

会議での発言がうまくいかなかったのに「まあ大丈夫だろう」とすぐに切り替えてしまう。そんな経験はありませんか。
自己批判性とは、自分の行動や成果を批判的に振り返り、改善点を見つける傾向を指します。

Emotional Compassでは、本特性は関係管理(RM)因子に属します。特性であり、この力が弱めの傾向があると、失敗や課題を深掘りせずに流してしまうことがあります。その一方で、過度に自分を責めないために、気持ちを前向きに保ちやすいという強みの裏返しでもあります。

リーダーにとって、健全な自己批判を取り入れることは、学習と成長の推進力につながります。


研究が示す自己批判性の力

心理学の研究では、自己批判は「適応的自己批判」と「不適応的自己批判」に分けられています。前者は建設的に改善点を見いだすのに役立ち、後者は自尊心を傷つけるリスクがあります(Blatt, 1995)。つまり、自己批判の仕方次第で、成長の糧にも負担にもなり得るのです。

実務の観点では、MIT Sloan Management Review の記事『リーダーが学習文化を築く重要な役割(Leaders’ Critical Role in Building a Learning Culture)』で、ヘンリク・サービーとトーマス・ボルプ・クリステンセン(2019)は、リーダーが自らの行動を振り返り、弱点を隠さず改善に活かす姿勢こそが、組織に学習文化を根づかせると指摘しています。自己批判は単なる弱みの告白ではなく、信頼性を高めるリーダー行動として位置づけられているのです。

経営学の視点からは、最上雄太(2022)が『シェアド・リーダーシップ入門』において「リーダーが自己の課題を率直に共有すること」がフォロワーの学習意欲を刺激すると強調しています【Amazon】。さらに近著(2025)『人を幸せにする経営』では、健全な自己批判を取り入れる組織が「挑戦と安心を両立する文化」を形成すると指摘しています【Amazon】。


実践のためのレシピ

自己批判性が弱めの傾向がある場合でも、次の工夫で「健全な自己批判」を取り入れることができます。


信頼を育むリーダーへ

リーダーが過度な自己批判に陥らず、健全なかたちで改善点を共有する姿勢を示すと、チーム全体に「挑戦しても安全」というメッセージが伝わります。これは心理的安全性を高め、メンバーが積極的に意見を出し合える土壌を育みます。


あなた自身は?

最近の経験で、「もう少し工夫できた」と思うことはありましたか? その気づきを自分を責める材料ではなく、次の改善につなげるとしたら、どんな一歩が踏み出せるでしょうか?


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参考・出典

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