人はいつ、ブランドに戻ってくるのか|AI時代の動機探索力|

執筆:最上 雄太

AIによって、コンテンツは安価に、速く、ほぼ無限に生成できるようになりました。
広告、投稿、動画、推薦。
あらゆる「瞬間」が、最適化の対象になっています。

にもかかわらず、私たちは多くのブランドを「覚えていません」。
正確には、一度は接触したはずなのに、戻ってこない

では、人はいつ、ブランドに戻ってくるのでしょうか。


「最適な瞬間」は、なぜ積み重ならないのか

近年のブランド戦略は、「いま、この瞬間」に何を出すかを高度に最適化してきました。
AIはその動きをさらに加速させています。

・いま検索している
・いま迷っている
・いま買いそうだ

そうしたシグナルを捉え、最短距離で行動につなげる。
一つひとつは、合理的な判断に見えます。

しかし、その最適化された瞬間が積み重なった結果として、
関係が深まっているかという問いには、答えが出にくい。

むしろ、「効率的だったはずなのに、なぜか印象が残らない」
そんな違和感が残ることも少なくありません。


人は「決めたから」戻るのではない

人がブランドに戻る理由は、必ずしも明確な意思決定ではありません。

・理由はうまく説明できない
・でも、なんとなく安心する
・また見たい、触れたいと感じる

こうした状態は、選択の結果というより、
その手前にある「探索の感覚」に近いものです。

つまり、人は「決めたから」戻るのではなく、
探索が終わっていないから戻ってくる。

この視点に立つと、ブランドに必要なのは
即時の説得よりも、探索が続く余地なのかもしれません。


「場」として記憶されるということ

Forbes JAPANに掲載された
「AI時代のブランド構築――『瞬間』から『場』へのパラダイムシフト」では、
ブランドを単発の接点(ノード)ではなく、
**時間をかけて意味が蓄積される『場』**として捉える視点が示されています
(Forbes JAPAN)。

そこでは、
・訪れる
・滞在する
・離れる
・また戻る

という循環そのものが、価値を生むとされます。

重要なのは、すべての瞬間を収益化しないこと。
探索や解釈、感情が動く余白を残すことです。


文脈が「侵入」になるとき

AIは文脈理解を得意とします。
しかし、文脈が誤って読まれたとき、
提案は支援ではなく侵入として受け取られます。

・考えている途中での売り込み
・没入している最中の中断
・探索しているのに結論を急がされる感覚

こうした体験は、「便利」より先に「雑音」として記憶されます。

このズレは、技術の問題というより、
人の動機が未完了であることを前提にしていないことから生じているようにも見えます。


動機探索力という補助線

ここで、Emotional Compassの特性の一つである
**動機探索力(trait_02)**が、補助線として立ち上がります。

動機探索力とは、
「人はなぜ、いまその行動を取っているのか」
「まだ言語化されていない意図は何か」
を急がずに見つめる力です。

この特性をブランドや組織の視点に置き換えると、
次の問いが浮かびます。

・この接点は、探索を深めているか
・それとも、探索を終わらせてしまっているか

場としてのブランドは、
人の動機を“確定させる”のではなく、
動機が育つ時間を許容する設計を持っています。


戻ってくる理由は、説明できなくていい

人がブランドに戻る理由は、
論理的に説明できる必要はありません。

・意味が残っている
・関係が続いている感じがする
・まだ終わっていない感覚がある

そうした状態が、結果として選択につながる。

AI時代において、
すべてを最適化できるからこそ、
最適化しすぎない判断が、
ブランドの持続性を支えるのかもしれません。

人は、説得された場所ではなく、
探索を続けられた「場」に戻ってきます。


参考文献


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