人を動かすリーダーとは何か
「人を動かすリーダー」という言葉があります。
モチベーションを高める。
やる気を引き出す。
チームを前に進める。
リーダーシップは、そうした“働きかけ”として語られることが少なくありません。
DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビューに掲載された
デイビッド・C・マクレランド、デイビッド・H・バーナムによる論考
「モチベーショナル・リーダーの条件」では、
優れたマネジャーは、達成動機ではなく、
組織志向の「権力動機」を持つとされています。
人は本当に「動かされている」のか
ただ、ここで一つの問いが残ります。
人は、本当に「動かされている」のでしょうか。
あるリーダーのもとでは自然と人が動き、
別のリーダーのもとでは同じ言葉が響かない。
“やる気を引き出す”という表現は、
どこか一方向の働きかけを前提にしているようにも見えます。
しかし実際には、
動いているのは「人」そのものであり、
そこには別の構造があるようにも感じられます。
達成動機と権力動機という分かれ道
マクレランドは、人の動機をいくつかに分けています。
その中で対比されるのが、
達成動機
──自分の成果や達成を高めたいという欲求
権力動機
──他者や状況に影響を与えたいという欲求
です。
達成動機が強い人は、
自ら手を動かし、成果を積み上げようとします。
一方で、マネジメントにおいては、
すべてを自分で完結させることはできません。
他者が動くことによって、はじめて全体が進む。
そのため、マクレランドは、
個人的な達成よりも、
「他者に影響を与えたい」という動機、
とりわけ組織志向の権力動機が重要だと指摘します。
「影響を与える」とはどういうことか
ここで言われている権力動機は、
単なる支配欲ではありません。
マクレランドはこれを、
個人的な利益のためではなく、
組織や他者のために行使される
「社会化された権力動機」
として区別しています。
つまり、
人を従わせることではなく、
人の行動に影響を与えること
が、その中心にあります。
カリスマは「人を動かしている」のか
ここで改めて問いが浮かびます。
影響を与えるとは、どういうことなのでしょうか。
カリスマ・リーダーは、
強い情熱や確信によって人を惹きつけ、場を前に進める存在として語られます。
しかし、その働きは、
「人を動かしている」というよりも、
むしろ
人が動かざるを得ない“関係”が生まれている
と捉えることもできるかもしれません。
影響力とは、
誰かが誰かを動かす力というより、
関係の中で立ち上がる構造のようにも見えます。
そのとき、リーダーが持っているのは、
単なる強い動機ではなく、
その影響を引き受けてしまう位置に立っている、
という状態なのかもしれません。
意図が共有されるとき、影響は変わる
この構造は、
意図共有力とも重なります。
意図共有力とは、
自分の考えや背景を他者に伝わる形で示す力です。
影響が強まるほど、
その意図が共有されていなければ、
それは操作のようにも受け取られます。
一方で、意図が共有されるとき、
同じ影響は、
関係の中で引き受けられるものへと変わっていきます。
人はなぜ動くのか
人を動かすとは、何を意味しているのでしょうか。
それは、誰かの内側にある動機を
外から引き出すことなのか。
あるいは、
関係の中で、
動かざるを得ない状態が立ち上がることなのか。
カリスマという言葉の中には、
その両方が混ざっているのかもしれません。
そしてそのとき、
リーダーが持っているのは力なのか、
それとも、引き受けている何かなのか。
参考文献
デイビッド・C・マクレランド/デイビッド・H・バーナム
「モチベーショナル・リーダーの条件」
DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー
https://dhbr.diamond.jp/articles/-/12473
INNERSHIFTからのお知らせ
JOURNAL
https://innershift.jp/journal
Emotional Compass
https://innershift.jp/compass
YouTube
https://www.youtube.com/@INNERSHIFT
