部下の成長はなぜ難しいのか
部下の成長をどう支援するか。
多くの場合、それは
スキルを教えることや、経験を積ませることとして語られます。
足りない知識を補い、できることを増やしていく。
そうした積み重ねが、成長につながると考えられてきました。
DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビューに掲載された
加藤洋平による
「部下の成長は『器』と『能力』の両面で考えよ」では、
人の成長は、スキルや知識といった「能力」だけでなく、
物事の受け止め方や他者との関わり方といった「器」の側面からも捉える必要があるとされています。
同じ関わりでも、結果は変わる
ただ、現場ではこんな場面が起きます。
同じように教えているのに、
伸びる人と、伸び悩む人がいる。
丁寧に関わり、話を聞き、寄り添っているつもりでも、
どこかで関係が噛み合わない。
「なぜ育たないのか」という問いは、
部下の側だけでなく、
関わっている側にも向けられるべきものかもしれません。
「能力」と「器」という二つの成長
この論考では、人の成長を
能力
──スキルや知識といった、できること
器
──物事の受け止め方や意味づけの枠組み
の2つに分けて捉えます。
能力は、学習や経験によって高めることができます。
一方で器は、
出来事をどう捉えるか、
他者の言葉をどう受け取るかといった、
より内側の構造に関わるものです。
そして、この2つは独立して存在しながら、
相互に影響し合います。
成長を制約する「見えない前提」
ここで参照されているのが、
ロバート・キーガンの成人発達理論と、
カート・フィッシャーのダイナミックスキル理論です。
前者は「器」の成長、
後者は「能力」の成長を扱います。
重要なのは、
スキルだけを積み上げても、
それを支える「器」が変わらなければ、
成長は限定的になる
という点です。
共感はどこでズレるのか
ここで視点を少し変えてみます。
この「器」という概念は、
部下だけにあるものなのでしょうか。
共感のリーダーは、
相手の気持ちを大切にしながら関係を築く存在として語られます。
しかし、その関わりは、
相手をどう感じ取るかだけでなく、
相手をどう“捉えてしまっているか”
にも影響されているのかもしれません。
たとえば、
「この人はまだ未熟だ」
「この人は理解が遅い」
そうした意味づけの枠組みがあるとき、
どれだけ丁寧に関わっても、
その前提の中でしか相手を見ることができません。
共感とは、
相手の内側に近づく力であると同時に、
自分の見方の中で相手を形づくる働きも持っている。
そう考えると、
部下が育たない理由は、
相手の能力だけでなく、
関わる側の「器」にも関係している可能性があります。
意味づけに気づくということ
この構造は、
感情俯瞰力とも重なります。
感情俯瞰力とは、
自分の感情に気づき、一歩引いて見つめ直す力です。
相手に共感しようとするとき、
私たちはしばしば相手に入り込みすぎたり、
あるいは無意識の前提で相手を捉えてしまいます。
そのとき、
自分が何を感じているのか、
どんな意味づけをしているのかに気づけるかどうかが、
関わりのあり方を少しずつ変えていきます。
部下はなぜ育たないのか
部下はなぜ育たないのでしょうか。
それは、スキルが足りないからなのか。
経験が不足しているからなのか。
あるいは、
その人をどう見ているのか、
どんな枠組みで捉えているのかが、
すでに関係の中に影響を与えているのかもしれません。
共感とは、相手に近づく力であると同時に、
自分の見方を通して相手を形づくる働きでもある。
そのとき、
私たちは何を見ているのでしょうか。
参考文献
DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー
「部下の成長は『器』と『能力』の両面で考えよ」
著者:加藤洋平
https://dhbr.diamond.jp/articles/-/12780
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